第1334回 列島展がやってきた2022
1、博物館探訪
県外からの客人を案内する、というきっかけがあり、行くタイミングを図っていた石巻市博物館に行ってきました。
現在は「発掘された日本列島2022」ということで全国から最新の調査成果の選りすぐりが出陳されているので見逃せません。
最近は東北によく巡回展できてくれるので嬉しいですね。
基本写真撮影可だったので、気になった展示物を紹介しながら概要をお伝えしたいと思います。
2、発掘調査いまむかし
時代順に紹介されていますが、個人的にはやはり中世以降が専門なので、そちらが気になります。
中世は「公家が繋いだ京都の文化」というテーマが掲げられ、秀吉が造営した「京都新城」や二条家の屋敷跡の調査成果が取り上げられています。
そして、近代の遺跡からは高輪築堤跡。
保存問題でメディアを騒がせましたが、出土遺物を初めてみました。
乗車券まで取り上げられていたとは…炭化して残ったのかな。
他の時代では、なかなかのインパクトの縄文土器や
シャンプーハットみたいな冠を被った埴輪などが印象的でした。
ただもう少し解説が詳しい方がいいのではないか、と思いましたね。
巡回展だから解説は付け加えたりできないのでしょうかね。
ただ、地方ごとに関連展示を企画しており、石巻市では
「毛利総七郎・遠藤源七の考古コレクション-明治・大正・昭和戦前期の発掘と蒐集(しゅうしゅう)」
と題して、地元のコレクターの人となりから資料の収集経過など詳しく紹介する展示が行われており、見応えがありました。
行政はもちろん、大学ですら組織的な発掘調査ができなかった明治の頃から収集を続け、沼津貝塚という遺跡の出土品2219点のうち473点が国の重要文化財に指定されるほどのコレクションでした。
彼らは地元の遺跡出土品のみならず、骨董商からも資料を入手しており、その際には入手年月日や入手先などの情報がちゃんと残されているものも少なくないといいます。
このような情報もデータ化して広く公開できれば、本来の出土地での活用が図られるようになるかもしれませんね。
もちろん出土地不明となってしまっているものもあり、
これもまた広く情報が公開されることで、来歴が判明するものがあるかもしれません。
一方で時代を感じさせるものとして、来日中のスウェーデン皇太子に遺物を献上する、という話題も取り上げられており、ちょっと驚きです。
資料は地元にあってこそ、その価値が最大限に活用できるものですからね。
いずれ彼国から資料返却が行われ、新たな縁ができる、といったような美談も生まれるといいですね。
3、文化の受け皿
いかがだったでしょうか。
石巻市博物館は令和3年11月にオープンしたばかりで、
常設展部分も初めてみたので、いずれレビューをしたいと思います。
それにしても、全国を巡回する期待の大きな展覧会を受け入れることができる地方の博物館ができた、ということの一事をもってしても
なんとも嬉しい事ですね。
本日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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