眠る前には

夜、ベッドに寝転がって石田千さんの本を開く。最近読んでいるのは「月と菓子パン」。すでに何度か読んでいるので、ぱらぱらとめくって「おっ」と目に止まった話を読む。

石田千さんの柔らかい文体が好きだ。表現もリズムも独特で味があるというか、癖になる。
食べ物やお酒のお話が多くて、本当に好きなんだなあと思う。読んでいるとお腹が空く。ビールを好きになってからは、読むのがますます楽しくなった。猫をまるで近所の知り合いのように書くところも面白い。子どもみたいに好奇心いっぱいな人なんだろうなと勝手に想像している。

初めて読んだのは「きんぴらふねふね」だった。ひとつふたつ読んで、あっという間に惹き込まれてしまった。何気ない日常のできごとが素敵な言葉で綴られていて、私もこんな文章を書いてみたいと憧れた。実際、自分のエッセイや小説を読み返すと、影響を受けているのが分かってけっこう恥ずかしい。

読んだ後には、ふわっと温かさが残る。そのことに安心して、穏やかな気持ちで眠りにつく。


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