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【教育関係者向け】「生活単元学習」は最強の学習形態かもしれない

こんにちは!つなぎBAの石井です!今回はちょっとマニアックな特別支援教育における『生活単元学習』についての解説と可能性について発信していこうと思います。

生活単元学習とは?

児童生徒が生活上の目標を達成したり、課題を解決したりするために、一 連の活動を組織的に経験することによって、自立的な生活に必要な事柄を実際的・総合的に学習するものである。(特別支援学校学習指導要領解説 総則編 幼稚部・小学部・中学部より)

分かるようで、分からないですね。

超絶ざっくりいうと、

ある目的を達成する過程を子ども達自身で企画や計画、実践までを取り組んでもらいます。そうすることで、実践的な経験を積むことができ、その経験は実際の生活にも般化しやすくなるというものです。

会社でいうと、企画からプロジェクトが始まる感じに似ていますね。

誕生日パーティーの企画に似ている

「来週、Aちゃんが誕生日だからお祝いしたいな!」

「いいね!そしたら、7月15日に私の家で誕生日パーティーやろうよー!」

「ゲームしたいね!あとは、記念写真とか撮る?あとは〜」

「15日までに、あと3日だから、明日飾り付けとかお菓子買いに行って、今日から友達誘って〜」

「おーありがとう!そしたら、僕はケーキ買ってくるね!そしたらBくんはみんなを誘ってくれる??」

「前日はみんなで飾り付けしよう!」「お〜!」

誕生日当日

 「Aちゃんおめでとう〜!」「みんな、ありがとう!」

みたいな会話って日常生活のなかにありますよね?

これが、学習指導要領のいう『一連の活動』のことです。

解説すると、

 ①子供のつぶやきから始まる

  「Aちゃんの誕生日祝いたいね!」

 ②企画する

        「7月15日に誕生日パーティーしよう!」

   「ゲームしたいね!あとは、記念写真  とか撮る?あとは〜」

 ③計画を立てる

  「15日まであと3日だから、明日買い物して、今日から友達誘って〜」

 ④実践する

 誕生日パーティー当日

 ⑤振り返る

 やった仲間同士で、思い出話のように振り返る

この流れの中で、やりたいことを話し合ったり、役割分担をしたりして、準備をしていきます。

これが主な一連の活動です。

生活単元学習の視点でいうと

一連の活動を、『組織的に経験』というのか生活単元学習(以下、生単)のポイントになってきます。

他の教科や領域でねらう目標を設定することで、より学習の定着に繋がるということです。そして、この視点が教師の力量になってきます。

生単に取り組む時には、どんな力を付けたいかを明確にして、活動に落とし込んでいく必要があるうえ、

その付けたい力を教科の力に細分化していく必要もあるということです。

その付けたい力は、そのクラスや個々の子ども達の課題によって様々です。まずは、その課題を把握するための実態把握が必要になります。

生活単元学習で付く力と強み

生単で得られる力は様々ありますが、

国語や数学が読解力や計算力をピンポイントで付けていくのに対して、生単ではもう少し汎用的な力を付けることができます。

課題解決力、人と関わる力、論理的思考力、計画力、実行力、自発性、手指の巧緻性などなど

注意するこおは生単でこれらの力が付くというわけでなく、児童生徒や集団の実態によって、教師側が付けたい力をねらっていくものです。

ではなぜ、生単をするかというと、

生単で付いた力は、日常生活に、般化させやすいという強みがるからです。

子ども(特に知的障害をもつ子ども)は、なかなか学習で得た力を日常生活の中で使うことに繋がりにくいものです。

例えば、算数の時間に習った3+3は日常生活のなかで、「りんごが3つとみかんが3つあるね!全部でいくつかな??」という場面で、『3+3』が結びつきにくい傾向があります。

生単は、3+3の計算をする場面を実践的に設定していくことで、日常生活に足し算が般化できるようにしていくものです。

こうすることで、

他の場面や自分の家庭の中でも足し算を自然に使うことがてきると考えられています。

『自立した生活に必要な事柄を実際的•総合的に学習していく』ことが生単の強みです。

生活単元学習で得た力は、社会人になっても通用する

私は、過去に特例子会社(特例子会社とは?)で管理者をしていました。約130名のマネジメントをしているなかで、どんな社員が活躍していたかというと、

①主体的に考えて行動できる

②自分から周りの人達と関われる

③分からないこと、不安なこと、しんどさなどを自分から発信できる

という実体験があります。事実、精神障害を持っていた方で月収13万円から、3年で管理職に上り詰め、月収を26万円と倍になった方がいました。

この方はまさに上記3つの能力を見事に持っていました。

また、経済産業省が提唱している社会人基礎力をご存知でしょうか?

社会人基礎力とは?

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「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。

この力の中でも「発信力」「主体性」「計画力」など、生単で付ける力に共通する部分がたくさんあります。

実体験や国が提唱していることから考えても生単で実践的な力を付けることで、社会人としての力を手に入れることが出来るのではないでしょうか?

生活単元学習って最強の学習なのでは??

生単で得た力を社会人になって発揮している方はたくさんいらっしゃいます。

私の周りの支援学校の卒業生で、職場での困難さを自分から支援機関に発信して、環境を整えて、今年で障害者雇用枠で11年間、一般企業に勤められている方々います。

この方に、学校でやっておいてよかったことを聞いてみました。

「授業のなかで友達と企画や計画を立てた授業あったじゃないですか。えーと、、あっ生単!あのおかげで、人への話し方や話すタイミングが経験できたり、どうやって計画を立てればいいかも知れたりしてよかったですね〜。その流れで校外学習にも行けたので楽しい思い出もできました。」

この話を聞いて、学校でもっともっと生単を充実させられれば、

社会人になったときに、自立と自己実現に繋がるのではないか?

生活単元学習って力を付ける学習として、最強なんじゃないか?

と、半ば確信しました。

とても奥が深いものなので、先生達一人一人のリテラシーや価値観が違います。

それでも、この最強の学習活動が充実したら、日本の底上げに繋がる気がしてなりません。

今生単に関わっておられる先生方がいらっしゃったらこの活動が必ず将来の力につながることを知って欲しいです。

最後までご覧頂きありがとうございました!

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