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これがわたしたちの「正解」だから。【NOT≠EQUAL】三峰 結華

 ドーモ、伝書鳩Pだ。最近は運が向いてきたのか、手持ちの石だけでお目当てのアイドルをお迎えできて、うれしい限りだ。どのアイドルも平等に愛らしく、とはいえ担当のガシャとなると張り切ってしまうが、お財布へのダメージは最小限にしたい。そんなワガママを叶えてくれるシャニマス運営くんは本当に信頼できる、真の漢が集うゲーム開発陣営だ。

 そんなわけで、わずか実装一時間後に手に入れ、最短でTrueコミュまで到達した今回のアイドルpSSR【NOT≠EQUAL】三峰 結華について書かせてほしい。今回のコミュ、「一人の女の子としての三峰結華」と「アイドルとしての三峰結華」を同時に描くという、三峰史におけるマスターピースのような内容で、あまりにクリティカルに心に刺さるあまり三峰P以外も食い殺しかねないような…とにかくスゴイのである。もちろん以下の文章はコミュのネタバレを含むし、どうかこのコミュだけは自力で読み進めて欲しい。テキストの文字情報に踊らされず、声優さんの震える声の演技に耳を澄ませながら、三峰結華の心のもっとも柔らかい部分に寄り添ってあげてほしい。また、解釈違いやコミュに対する同僚P各位の感想も聞かせてほしい。もう一人では処理しきれんのだ。骨は拾ってくれ。

これが間違いなんだとしたら

 まず初めに。今回のコミュはTrueを除いて三峰本人の心情のモノローグから始まる。プロデューサーとの触れ合いの中で気づいた、声に出すことなく押し殺した感情を、画面の前のPだけが知ることになるのだ。殺す気か?????

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―――私が、私に見えないのなら

あなたの隣にいる私は
今、どんなふうに見えてるんだろう……?

―――なんて

……こんなこと、気づかなければよかったのに

 夜の展望台を訪れた三峰とプロデューサー。綺麗な夜景を見ながら、互いにドラマの台詞を復唱し、いつものからかい合いが始まる。それでも、今日の結華はどこか大人びていて、プロデューサーは「結華じゃないみたいだ」「いつもと違って見えるよ」とこぼす。その何気ない一言を聞いて、三峰の心臓は思いの外撥ねた。

―――私が、私に見えないのなら

 これはコミュを読む前に投稿したツイートのセルフ引用なのだが、心臓が撥ねたのはこっちもだ。まるで見透かされているようだった。三峰結華の魅力といえば、冗談めいていながら根は真面目で責任感も強く、いつでも気配りが出来すぎて気遣いさんの一面があり、それゆえに自分の本心を隠してしまう不器用さがいつしか庇護欲のようなものを抱かせてしまう、そういう女の子だった(私見です)。そんな三峰が、眼鏡を外したり服装によって印象が大きく変わることに、作中のプロデューサー同様に、ただただ驚いていたのである。

 その驚きをアイドルとしての強み(魅力)としてとらえているプロデューサーと、心に芽生えた不安に気づく三峰。プロデューサーの眼に映る私と、私が思う私。もっと言うなら、「プロデューサーにこう見られたい私」との間で、大きな溝があるとしたら…?

こんなこと、気づかなければよかったのに

動点Pとの距離を求めよ

……本当は、こんなわがまま言いたくないのに

―――でも私、勘違いだけはしたくない……

 あの展望台での出来事の後、見るからに調子のおかしい三峰。そんな三峰にプロデューサーは声をかけるが、三峰は「自分で解決するから、時間がほしい」とだけ告げる。

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 「どうした?」と聞かれて、一番最初に「プロデューサーは悪くないよ」って言える優しさがいじらしくて読みながらうっかり泣いてしまったわけだが、プロデューサーが危惧するのは、なんでも一人で抱え込んでしまう彼女の性格。それを悟られまいとして気丈に振る舞ういつもの三峰らしさを、今回は欠いてしまっている。それでも、深く踏み込むことをせず見守ることを決めたプロデューサーへの、三峰の切ない「わがまま」が、雨の降る事務所に響いた。

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 あのね、この破壊力たるや、すごくて。「あなたにとって特別でないのなら、『結華』だなんて呼ばないで――」って。それを「わがまま」って言っちゃうくらい、内罰的で。心に抱えたモヤモヤを処理しきれなくて、それを表に出してしまったことに、きっと三峰は自分を責めるだろう。ちゃんとしなきゃって思う人ほど、傷つきやすい。

 ここまでのコミュを読んで、安易にこの言葉に落とし込むのは危険だと承知の上で、もうこれは「恋」や「憧れ」なんだと、言いきってしまいたい。相手にどう思われているか、どう見えているかが気になって、でも互いの心に思い違いがあったらと踏み込むのを怖がって、どうしようもなくなって。そのもどかしい気持ちを、そういう呼び名で包んであげたくなってしまう。

 もちろん、プロデューサーとアイドルという立場であるのなら深い関係になるのはご法度だし、プロデューサーが三峰を大切に想う気持ちと、三峰からプロデューサーへの矢印は、おそらく違う類のものだろう。それでも、アイドルに憧れる一人の女の子がいて、その憧れの対象と同じ舞台に連れて行ってくれた人がいたとして、その人のことを深く思う気持ちって、もう止められないものなんだろう。

 三峰結華は「アイドル」であり、同時に「女の子」でもあって、そのフィルターによってプロデューサーがどのように映るのかは、おそらく違う。だからこそ苦しくて、もどかしい。それをストレートにぶつけられないところが三峰の優しさであり、脆さでもあって、読み進めながら胸が締め付けられる。

雨の中(二度目の)正解をくれた

―――臆病、ビビり、意気地なし

……普段はうるさいくらいしゃべるくせして

こんな時ばっかり、だんまりなんだから

 あれ以降、三峰の気持ちは晴れない。外も雨模様が続く。

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 「アイドル」と「わたし」の齟齬、乖離。プロデューサーへの接し方がわからなくなって、遠ざけて、そんな勝手な自分が嫌になって。

 そんな三峰を放っておけなくなったプロデューサーは、雨の中三峰を追いかける。三峰がどこにいるかわからないまま、色んな場所を探して、なんとか見つけられたと語るプロデューサー。どうしてそこまでするのかと問われ、こう返す。

そんなの決まってる
プロデューサーだからだ

担当アイドルに心配なことがあるんだったら、
会って話を聞かなきゃだろ?

そのために必要なことはなんだってやるさ

 せ、せつな…。無理じゃんこれ…。この時、三峰が悟る通り、あくまで二人は「プロデューサーとアイドル」なのだ。プロデューサーは三峰が心配でたまらなくて、三峰結華を一人の人間として、アイドルとして大切に想っていて、それでもすれ違うのだ。きっと雨の中自分を探してくれたことが嬉しくてたまらなくて、でも同時に悲しくて。

プロデューサーは、どんな時でも三峰のプロデューサーなんだって

―――そんな当たり前のことを、
改めて実感させてもらえたから、かな!

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 「三峰結華、通常営業に戻ります!」それはある種の宣言だ。プロデューサーを想う「わたし」と、「アイドル」三峰結華は別のもので、切り離すという。すなわち、ノットイコール【≠】だ。同じ三峰結華でありながら、違うという意味の。

 こうして三峰結華は、アイドルになった。それは同時に、プロデューサーを仕事上のパートナーとして、一緒に歩いていける人だと信頼する。そんな落としどころだろうか。諦めでもあり、清々しくもある、そんな「失恋」の物語が、ひどく心を揺さぶるのだ。

答え:アイドル三峰結華

もう怖くない、怖がらない

―――私たちはこれで正解って、思えるようになったから

 あの展望台を再び訪れた二人。眺める景色も昼と夜とではまるで違っていて、ムードがなくてもこのお出かけを「デート」と呼び、プロデューサーをからかう三峰。いつもの掛け合いにどこか懐かしさを覚えていると、一人の女の子が三峰に駆け寄ってくる。三峰やアンティーカを応援しているという女の子に、三峰は感謝の言葉と握手で返す。すると、女の子は無邪気にこんな質問を投げかける。

結華ちゃん、隣の人は彼氏さんなの??

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 ハッキリと、自分に言い聞かせるように。自分の中でケジメをつけた「正解」を、女の子に語りかける。それがアイドル三峰結華としての、100点満点の模範解答。

 ここで、そんな回答にジーンときているプロデューサーの鈍感さ(というよりは職業『プロデューサー』としての正しすぎる姿勢)が、画面の前のPたん(プレイヤー/プロデューサー)の怒りを買い、思わず画面を右ストレートしたくなる気持ちもわかる…わかるが!これが三峰の導き出した答えなのだ。自分の中で整理が付けられない、そうとさえ自覚できない「スキ」に惑わされるくらいなら、アイドルとしてケジメをつけて、前に進む。そのひたむきさが、彼女をアイドルたらしめる原動力となるのだろう。

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 まさしくアイドル三峰結華の誕生譚として、どこか切ない余韻を残す凄まじいコミュだった。と同時に、この女の子との出会いはアイドル三峰結華のゴールとしての側面も孕んでいる。

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 これは、三峰の共通コミュにおけるプロデューサーとのやり取り。この内容を踏まえるのなら、自ら理想とするアイドル像を、三峰結華はいつしか手にしていたのだ。輝きに憧れる少女から、憧れられる偶像へ。プロデューサーへの想いを振り切った直後にその気づきと出会う三峰、やっぱり因果が強い。ハードボイルドだ。

【True】……頼ってもいいですか?

 心のモヤモヤが晴れてなのか、重苦しげなモノローグはない。…代わりに、熱が出てしまったのでレッスンをお休みする三峰。独り暮らしで看病する人がいないことに気づいたプロデューサーは、昼休みに三峰の家を訪れる。彼女の無事を確認したプロデューサーが家を出ようとしたとき、三峰の「わがまま」が引きとめる。

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 一度は自分を傷つけた「わがまま」が、「一緒にいたい」という素直な気持ちへと変化するこの流れ、ハッキリ言って天才すぎてシャニマス運営本気で怖い。しかもこれ、事務所ではなく自宅=アイドルではない三峰結華だからこそのおねだりなわけで、三峰の中でのプロデューサーへの想いは消えていないことを示す、最高のエンディングにもなっている。

 アイドルのために誰かを想う気持ちに栓をしなきゃいけないと言うのなら、それも抑圧的すぎて苦しいだけだ。かといって、安易に三峰の想いに応えるようなプロデューサー像を提示されては、シャニマスというコンテンツへの信頼が揺らぐ。だからこそ、「今は」そういう落としどころなのだろう。どこかいじらしい、等身大の女の子としての三峰結華に再会することで、今回のコミュは閉幕だ。

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続編ができました。

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