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血みどろだけどパーティーゲームとして最適!蘇りしブシドーブレード『斬!斬!斬!』

 Kill or be KILLED!!(挨拶)。今回も随分前にセールで買ってたけど積んでいたゲームが面白かったので紹介するゾ。ハラキリとセプクの国JAPANにオマージュを捧げたポーランドのスタジオ「Dojo Games」が開発した一撃必殺格ゲー『Slice, Dice & Rice』の日本語ローカライズとしてアークシステムワークスが販売している『斬!斬!斬!』だ。switchとPS4(※steamでも配信されているが日本語非対応)で遊べるし、ジッサイ安い。

 ところで、これをお読みいただいているあなたは『ブシドーブレード』というゲームをご存知だろうか?ご存知であれば「それの最新版」で本作の説明は事足りるし、知らないよ!というのであれば少し解説を挟みたい。

 スクウェアの往年の名作『ブシドーブレード』と、そこから着想を得た本作『斬!斬!斬!』の特徴は、「体力ゲージが存在しない格ゲー」ということだ。人間は脆弱なので、刀で斬られたり、拳で殴られたら大抵一発で死ぬ。その当たり前をゲームに落とし込むべく、基本的には「一発喰らわせれば勝ち」というルールを採用し、複雑なコマンドや反確などの小難しい格ゲー様式を配した読み合い特化のゲームとなっている。

墨絵調のグラフィックが超イケてる。SEも小気味よい。

 ゲームを遊ぶために覚えるべき操作は横斬り/縦斬り/弾き/強斬りの4種類のみで、後はこの読み合いを制するだけ。横斬りは始動が早く縦斬りは空中に浮いた敵を迎撃できるが、弾きで防ぐことが可能。強斬りは始動が遅く横・縦斬りに潰されやすいが弾きを崩す事ができ、タイミングが違うので相手の弾きミスを誘発すれば勝利に近づける。こうした性質を理解すれば、後はじゃんけんの要領でデッドオアアライブが楽しめる。

 一撃必殺という性質上、1ラウンドが開始1秒で終わることもあるし、弾きや回避の応酬で膠着状態が生まれることもある。先に4本先取した方が勝利であるため、連敗しても大番狂わせの大逆転が起きることもあり、一瞬の読み合いを連続で繰り返す緊張と緩和は大いなる興奮をもたらしてくれる。攻撃を弾くために敵の行動に神経を尖らせ、急な強攻撃にはバックステップで緊急回避。キャラクターごとに得意とする攻撃の間合いがあり、こちらと敵との距離や攻撃モーションの早さを計算しながら試合を繰り返していく内に、プレイヤーは無我の境地に達し、敵の動きが見えるようになっていく。

一応各キャラごとの短いストーリーがある。

 プレイアブルキャラクターは8名で、日本刀や薙刀、鎌といった異なる武器とスタイルで個性づけされている。素早い動きで敵を翻弄する者もいれば、肉を切らせて骨を断つようなハイリスクハイリターンな闘いを好む者もいる。絶妙に異なる攻撃範囲や強攻撃の特性を活かし、有利な距離感を意識して立ち回るのも重要だ。

 一人でも遊べるモードとして「Story」があり、これは一人を選択して他のキャラクターと闘っていくアーケードスタイル。一応彼らには闘いを求める動機があり、特定の組み合わせでは短いセリフが表示されることも。その他は自由な対戦が組める「Versus」やトレーニングモードの「Dojo」、チュートリアルを表示する「Hints」が選べる。オンライン対戦にも対応しているが、リリースが2018年ということもあり過疎状態で、マッチングには成功しなかった。

 本作が真価を発揮するのは、対人戦なのは間違いない。コマンドを覚える必要がないため未プレイ者も数回遊べばルールを理解できるだけのシンプルさと、そこから繰り広げられる読み合いの奥深さはパーティーゲームとして求められるすべてを満たしていると思うのだ。一試合のサイクルが短いので3名以上で遊んでも一人の待ち時間は短いし、読み合いが高度になれば時間を忘れて遊んでしまうだけの中毒性も秘めている。一人で遊ぶには物足りないボリュームだが、多人数でゲームをする機会がある方は、取り敢えずダウンロードしておくのがおすすめだ。価格も安く時折セール対象にもなるので、盛り上がらなくとも損した気にならないのがデカい。

強攻撃がキマるとこんなスプラッタ表現も。FATALITY!!

 格闘ゲームの敷居の高さが議論になることも多いが、世の中にはシンプルな操作で誰でも読み合いが即座に楽しめる、ハードルは低いが完成度が高いゲームも存在することを、本作で知った。そして、『ブシドーブレード』のコンセプトは令和にも通用し、多人数で遊ぶための最良の条件を備えていたことを、十数年越しに再確認できた。その血を受け継ぐ本作は、ゲームをみんなでワイワイ遊ぶ楽しさをお茶の間に蘇らせてくれるだろう。オンライン対戦よりもローカル対戦が映える一作、ぜひゲームハードの容量の片隅に置いてあげてほしい。ただ、一緒に遊ぶ相手がゴア表現が苦手かどうかだけは、事前の確認を怠ってはならない。


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