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【ブルアカ】『対策委員会編』を読んだよメモ【初見】

 ちょっと前に号泣する青年の顔にプロフを乗っ取られた連中が、今度は『ブルーアーカイブ』に狂い始めた。

 曰く、「ブルアカを始めるなら今」「エデン条約編まで読んで」「やるかやらんかは問わず、ミカって子だけガチャで引いておけ」と。いやいや、真剣にやるかわらかんゲームのために5GBも容量割けねぇよ、と思ったので、リセマラする時間なかったからミカ引けんかったスマソwwwするつもりだったのに、何の因果か、スタート時に無償で配られる石でミカちゃん引いちゃった。黛冬優子で三回天井したこの俺が、無償石だけでピックアップキャラを……??

オタクなので><に弱い。

 これも運命か……ということで、ブルアカをアンインストール出来なくなった。ミカちゃん、たしかにかわいい。めちゃくちゃかわいい。お姫様な見た目と羽、そして何よりCV:東山奈央。脳が溶けそうな声してんなこの子。

 あと、周りのシャニマスPもブルアカデビューしていたのも追い風だった。ハバネロさんや灰猫さんまで透き通った世界観に魅せられたらしく、熱のこもった長文が出ている。読んでね。

 さぁブルーアーカイブ。まず言っておきたいのが、「シナリオと戦闘パートが別れているのが最高」ということだ。簡単に言えば、「“続きが読みたかったら○-○をクリアしてね!”がない」のである。

 シナリオ目的で入った身として、これはかなり嬉しい仕様だ。W.I.N.G.で50万人のファン稼ぎを安定させられるまでTrue閲覧を諦める必要もないし、強キャラを求めてリセマラしたりフレンドの強いバーサーカーを借りる必要もない。ゲームパートの進行によってシナリオの読破に待ったをかけられないため、インストールしてすぐに全話読み進めることができる。

 もちろんシナリオ中にも戦闘が挟み込まれるのだけれど、これはパーティメンバー固定の実質イベント戦だし、適正レベルに設定されているためゲームを始めた際のチュートリアルの知識さえ頭に入っていれば苦もなく勝てる。それでいてゲーム要素も楽しみたい人にとっては「まだ所持していない生徒(キャラ)をお試しで使える機会」にも変わるという、これ割と理想的なソシャゲ運営メソッドなのでは?と思った次第だ。

 とはいえ、私のようなシナリオだけ読みたい派(ゲーム要素は触らない派)の人間に対し課金を促すことが難しくなるため、相当の自信がないとこの方策は取れないと思う。事実、私は今の所ブルアカコンテンツに対し一銭もお金を払っていない。なので、どこか申し訳無さが心の中にあるのだけれど、じゃあゲームの外では何を?と調べたら公式ASMRが出てくるあたり、このゲームはどう見られたいかが明快でいっそ清々しい。

 チュートリアルを兼ねたプロローグを経て、最初のシナリオである『対策委員会編』に……の前に、まず銃持ってる!???!???!??!と驚いた、って話。

 いや、その、ブルーアーカイブってtwitterやってれば受動喫煙は避けられないくらいの人気コンテンツなんですけど、お胸が大きい長いえっちなバニーの女の子の絵がRTで乱立していた一時期の印象が強くて、そういう世界観だと一切思わなかったんですよ。普通にゲリラとか戦車とか出てきて、女の子が銃火器で応戦して、そのくせ「青春」「奇跡」「透き通った」だのノクチルみてぇなワードばっかり振りかざしてくるから、なんだァてめェ??ってなってたんですよ。いや超血なまぐさいじゃん、って。

 で、基本的に『ブルーアーカイブ』というゲームは全ての倫理観が狂っているので、青春よりも硝煙が似合う世界観なのに彼女たちは基本的に死なないし、銃弾にまみれ爆風に巻き込まれても「ちょっと痛かったですね」みたいなノリなので、次第にシュールギャグの要素が強くなっていく。もうこれコロコロコミックのギャグ漫画のルールで動いてるな???と即座に理解ると、読書にストレスがなくていいです。

この世でもっとも嬉しくないパンチラで屍となっていくモブたち

 で、最初のメインシナリオである『対策委員会編』を読む。いやその、ブルアカ、事前の評判通りシナリオはマジで面白い。シャニマスがアイドルたちの実在感や起こる事件のリアルさを突き詰めていった結果、一つのコミュなシナリオを読み解くカロリーがどんどん重たくなっていくのとは対照的に、パロネタや女の子の強烈なキャラクターで読み応えにおけるいい意味の軽さを保持しつつ、不条理なギャグセンスに加え出てくる数字や概念をとりあえずクソデカにするというtwitterウケしやすい文体がとても腹筋に悪い

 『対策委員会編』は母校を廃校から救いたい!というラブライブめいた話なのに、「未成年の少女たちを経済的に搾取する暗黒メガコープ」「借金が9億」「銀行強盗を提案するメインヒロイン」とかが矢継ぎ早に登場するので、辞め時をついつい見失ってしまう。

 徹頭徹尾、頭から足の先まで倫理観の欠片もない展開が続き、その上でラストは「敵味方入り乱れての連合軍でホシノパイセンを救う」みたいな劇場版クライマックスに移行するので、感情の振り幅がもうとてつもないことになっている。メトロノームならもう壊れてるよ。

もうこれハイローのあらすじだろ
そしてこれはキンプリの冒頭
透き通るような世界観で送る学園RPG(笑)

 こんなノリがずっと続くので麻痺しがちだけれど、プレイヤーの分身たる先生の役割は常に「彼女たちの青春を守る」と一貫しているところが、本作は偉いと思う。

 この話でもフィーチャーされる通り、ブルアカの基本は「大人と子ども」の話をしていると思われる。本作に登場する少女たちは基本的にはキヴォトスという世界に点在する学校に通う現役の女学生であり、対策委員会メンバーが汗水たらしながら借金返済を目指すのは、彼女たちの青春の基盤たる学校という居場所を守るためだ。先生はその活動を応援し、弾薬を補充したり(!?)する傍ら、子どもたちの手には負えない事態になったな、と感じた際には”大人のカード”を振りかざして、より大きな暴力に対抗する。

エヴァかな????
実質一択の選択肢。最後にモノ言うのは金よ。

 "大人”という、ブルアカ世界では特権的な立ち位置で振る舞うというロールが、悔しいかな、気持ちがいいのだ。

 先述の通り、先生がメインになるのは子どもたちの手に負えない事態の時だけであり、しかもこの”大人のカード”がまるで黄門様の印籠の如き力を発するシーンは金で黙らすというある意味最も透き通っていない行為なのだけれど、その前提には愛すべき生徒の青春を守るためという大義名分があるし、無課金ユーザーならば「自分の財布を汚さずにデカい顔する」ことが出来るし、課金兵の皆様なら「俺はこんだけこのコンテンツに課金してンだぞおラァン??!??!????」にもなり得る。早い話、その気になればどんだけでも金を積めるというソシャゲ仕草をシナリオに取り込んでしまい、ユーザーに全能感を抱かせるギミックを、本作は有している(と思う)。

最後は綺麗に締めようとする。

 プレイヤー=先生を"大人”として配置するこの構図、なぜだかずっと頭に浮かんでいたのは芹沢あさひのコミュだった。

 もうその側面も薄れたが、出会い(実装)から間もない芹沢あさひのシナリオにおいて、プロデューサーはあさひのことを理解しようとして、その真意を掴みかねる、ということを繰り返していた。今もなお傑作の一つとして時折読み返す【空と青とアイツ】が顕著なのだが、プロデューサーにとってのあさひは、プロデューサーが大人になるにつれて失ってしまったイノセンスそのものであり、完全な理解はもう果たし得ないという、ある意味で残酷な隔絶の象徴なのだ。

 なので、大人である先生=プレイヤーは、彼女たちの眩い青春には入り込めない。だからこそ、一歩外の立場から彼女たちの青春を、尊い日常を守るため、大人の力(金)を振るう。そんな力関係を意識してるんじゃないか、というのが『対策委員会編』を経たブルアカへの印章だ。

 このエピソード、ブルアカの治安の悪さ、ハイローっぽさ、王道のアツい展開がごちゃまぜになっていて、コンテンツへの印章をガラリと変えた経験になった。びっくりするくらいえっちなバニーのお姉さんが出てくるだけじゃないゲームだということがわかったので、百聞は一見にしかずを身に沁みて体感した。なので今、次なる『時計じかけの花のパヴァーヌ編』も読んでいます。読了して心動く体験があったら、また何か書くかもしれません。

 ちなみに、いま一番の推しは陸八魔アルさんです。表情の差分が多くコロコロと変わる彼女の心中描写が最高。ビジュアルを初めて見た第一印象とのギャップのデカさででは圧倒的一位。ずっとこの子だけ観ていたいし、このポンコツぶりでCV:近藤玲奈という事実がシャニマスPの腹筋にたいそう悪すぎる。助けて真乃めぐるをずっとやっているような女なので。

 このPVみてずっと笑っている。『対策委員会編』におけるアル社長の名場面集になっており、それは全部私の爆笑ポイントだったからだ。この子が白目剥くたびにブルアカへの好感度が上がっていくので、もう私は便利屋推しなのかもしれない。

ん、次を書いた。


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