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【旅日記鎌倉編】「ツバキ文具店」ポッポちゃんを追いかけて

みなさんは「ツバキ文具店」という小説をご存知だろうか?

いや、知らんけど。
なんて言わずにちょっとお付き合いいただきたい。

この本の主人公は、鎌倉で文具店兼代書屋を営む鳩子(通称ポッポちゃん)。
代書屋とは、ラブレターや絶縁状に始まり、推しからの手紙が欲しい!だの、亡くなったクズ夫から手紙をもらって気持ちの整理をつけたい!だの、無理難題を要求してくる依頼者の気持ちを汲み、手紙を代書するお仕事である。

私がこの小説に出会ったのは2週間ほど前。
本屋で平積みになっている愛らしい表紙に目を惹かれ、小川糸特有の美しい言葉選びと、魅力的なキャラクターにすっかり夢中になり、あっという間に続編の「キラキラ共和国」まで読み終えてしまった。

すっかり「ツバキ文具店」の大ファンになった私は、こう考えた。
ポッポちゃんに会いに行きたい、と。

そういう訳で私は今日、神奈川県鎌倉市にいる。


東京から電車に揺られて1時間半。
鎌倉駅についてまず向かったのは、カフェ「OXYMORON」。開店から20分後に行ったのにも関わらず、すでに8組待ちだった。

空きができたらメールをくれるというので、その間に「鶴岡八幡宮」と「鎌倉市農協連即売所(通称レンバイ)」へ。

鎌倉市農協連即売所(レンバイ)

大きな玉ねぎがデンッと鎮座し、かごにはじゃがいもがごろごろ。
家の近くにあったなら毎朝通いたくなるような、地元の直売所!という感じの素敵な市場だった。
まだ3日ほど関東に滞在する予定なので、泣く泣くお野菜は諦め、お隣の「PARADISE ALLEY」というパン屋さんでアンパンを購入。
本の中でポッポちゃんが「ニコニコパン」と呼んでいたアンパンである。

そんなこんなで1時間弱が経過し、お店からメールが届いたので慌てて「OXYMORON」に戻る。
ここ「OXYMORON」は、主人公のポッポちゃんが文通相手のQPちゃん(5歳)とお父さんの守景さんと訪れたお店。
私はポッポちゃんと同じ和風キーマカレーを注文した。

OXYMORONの和風キーマカレーとチャイ

ネギとゴマがたっぷりのった中辛カレーは、スパイスがよく効いていて私にはちょっと辛かったけれど、ほんのり甘いチャイと生卵で中和しながら美味しくいただいた。

お腹がいっぱいになったところで、10分ほど歩いたところにある源実朝・北条政子の墓へ。
元来ビビリな性格なもので、あまり墓地は得意ではないのだけれど、2人のお墓は自然に囲まれ、なんだか心が浄化されていくような、すごく清々しい場所だった。

PARADISE ALLEYのニコニコパン

せっかくいい天気だったので、そのまま外で先ほど買った「ニコニコパン」をいただく。
購入時は「アンパンに250円か〜」とドケチ精神が働きそうになったが、しっかりめの生地は食べ応えがあり、あんこにはレーズンが隠れていて、思わずニコニコになるおいしさだった。(運ぶ途中にパン自体のニコニコ顔は崩れてしまったけれど…)

続いて向かったのは「銭洗弁財天」。ジブリ映画に出てくるような怪しげなトンネルをくぐり、ホトトギスの鳴き声や風鈴の音に癒されながら歩いていると、こんな看板が目についた。

絵本屋Dearの看板

「絵本屋Dear」。店の建物もおとぎ話に出てくるような素敵な洋館で、絵本愛好歴20年(推定)の人間としては、足を踏み入れずにはいられなかった。
建物に一歩入ると、これまた絵本から出てきたかのような上品な老婦人が「1階はブティック、2階は絵本屋です。」と教えてくれる。狭い階段を登って2階に行くと、そこはまるで絵本の王国のような空間が広がっていた。

部屋の真ん中に置かれたソファを囲うように、中川李枝子やかこさとし、エルサ・ベスコフ、ビアトリクス・ポターなどの作品がずらり。
そんな中でも私の目を奪ったのが、この本。「世界の児童文学をめぐる旅」

池田正孝著「世界の児童文学をめぐる旅」

最初は英文学だけかと思ったけれど、「ニルスの不思議な旅」や「長くつ下のピッピ」などの北欧文学についても取り上げてあった。
旅先で、自分の研究分野を旅している人の本に出会うとは。
これもまた、数奇な運命。

お店の人によると、このお店は3年前にオープンしたばかりだそう。
彼女もまた「ツバキ文具店」や「長くつ下のピッピ」のファンだそうで、短くはあったが、非常に楽しい時間を過ごすことができた。

本日の最高気温は25℃。1日歩き回ってかいた汗を流そうと続いて向かったのが稲村ヶ崎温泉。移動はもちろん緑色の車体が可愛い江ノ電で。

鎌倉駅に到着しようとしている江ノ電

温泉は海のすぐ近くで、お風呂からは広大な海を拝むことができた。(目が悪いのであまり見えなかったけれど)疲れが取れたところで再び江ノ電で鎌倉駅に戻り、充実した1日は終わり。

ポッポちゃんを追いかけるつもりが、いつの間にか鎌倉という街に魅了され、思いがけず心豊かに時を過ごすことができた。

たまにはこんな1人旅も悪くない。

明日は、4年ぶりに千葉の祖父母の家へ行く。



おまけ

鎌倉駅付近で発見したこじんまりとした文具店を発見

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