花のお江戸のまんなかで
いっこ下の［友達］と2人でスフレを食べた日は
7つ年上の〈彼女〉を偲んだ日でもあった。
同じ日に『東京タワー』のドラマ化を知り、
原作本を買いに書店に走った。
文庫本の表紙、東京タワーの勇姿を目にして
何か 思い出しかけた。
7つ年上の〈彼女〉
いっこ下の［友達］
東京タワー
…思い出せそうで、思い出せない…
そのまま日が過ぎていったある日のこと。
探しもののために天袋に収納している
ダンボール箱を出してきた。
蓋を開けた瞬間に「あっ」と声が出た。
思い出した‼️
フラメンコの発表会を見に行った夜に
東京タワーからの夜景を眺めに行ったんだった。
1ヶ所だけ、展望室の床がガラス張りになっている場所があった。
恐る恐る覗き込む〈彼女〉と私。
それを横目に［友達］がヒョイと
ガラスの上に載った瞬間、〈彼女〉が叫んだ。
「座が抜けたら、どうするん‼️」
思わず耳を疑った。
［友達］と私は一瞬あっけに取られ
次の瞬間、二人で顔を見合わせて
吹き出してしまった。
〈彼女〉には大変申し訳ないけど
花のお江戸のまんなかで
「座が抜ける」を聞くとは思わなかった。
もう少し早く
［友達］とスフレを食べているときに
思い出せたらよかったな。
📝つむぎの ひとこと ふたこと✒️
大阪メトロ御堂筋線から新幹線に乗りかえるべく
移動していたときのこと。
とても懐かしい気がした。
懐かしさの正体に思いを巡らせつつ歩く。
JR改札階へのエスカレーターが目に入った時、
唐突に思い出した。
習い事のクリスマス会用のグッズ買い出しで
「彼女」と歩いたんだった。
お夕飯どうする？なんて話してたっけ。
心の中で「彼女」に話しかけながら帰途に着く。
あのときと同じように。
