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ガラスケースに入った空想

暗闇の中で目を開けても、目の前は藍色に包まれていて何も見えない。

自分の瞼が閉じているのか開いているのかさえわからなくなる。一体私はどこに居るのだろうか。

心と身体の時間がゆっくりとペースを落とす。

夜になると眠れないけれど、ぼーっとする時間は嫌いじゃない。

孤独は人を寂しくさせる。でもその寂しさが自分への愛おしさに変わっていく。

人の可能性は無限大だ。

自分の見たい物を見られる。

心を宙に浮かせ、想像力の蓋を開けたら、真っ暗な闇だってパチパチと音を立てて鮮やかに彩りだす。


”現実”はどうして退屈なんだろう。

どうしてつまらないことを我慢して頑張るのが「普通」なんだろう。

仕事とは、楽しい物ではないからこそ対価を得られるのだと誰かが言っていた。

本の中の人が「貴方がやりたいことさえ見つければ毎日ワクワクして目が覚めるだろう」と囁く。死を意識すれば、重要な暮らし方が見えてくると言う。

あぁ。本当にそうならいいのに。


明日死ぬかもしれないと考えたって、常識の膜を破って生きることはできない。

やりたい仕事に就けるわけでもない。

片想いは、片想いのままだ。

でも、その一瞬の期待を、希望を求めてまた私は同じような本を手に取ってしまう。

常識から逸脱した特別な存在になる夢を

やりたいことを仕事にする夢を

想いが実り報われる夢をみて

3時間前より少しワクワクして生きるために。

何もそのような本が悪い訳では無い。漫画だって読んでいるうちは興奮の嵐に包まれるけれど、読み終わってしばらく経つと熱は冷める。そんなもんなのだ。


夢が叶わないのなら、ただ毎日ぼーっと空を見て、揺れ動く木々を見て、新鮮な空気を吸って、眠気に誘われながら横たわる。

そうやってシンプルに生きていければいいのに。


小さな幸せを拾い集めることの歓びを知っていてもなお、より深い幸せがあるのでは、なんて考えてしまうから自分の世界がつまらなくなるのかもしれない。

明日こそは『健やかに』過ごせますように。


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