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「美称」「言い換え」で言葉と仲良くなる

最近、「美称びしょう」ということばを知りました。聞き慣れないことばでした。
辞書にも載っていて「他人を褒めていう時の呼び方」「上品な言い方」とのこと。
たとえば「御空みそら」。空の美称のひとつ。
美称は短歌や長歌など、和歌でよく使われるもののようです。

これは言葉の鍛錬にぴったりだと思いました。新しい美称を考えてみるのです。
たとえば、
水洗トイレの美称 → 「水が仲介する別れ」
エスカレーター → 「あなたは動かないでください」
注射      → 「痛みは幸運の門」
美称ではなく「言い換え」のようなことになってしまいました。「ユルイ美称」ですね。
これはこれで想像力を掻き立てられます。

万葉集には日本の美称として「言霊の幸わう国」という表現が出てくるそうです。「ことだまの さきわう くに」、言霊の力で幸福の生まれる国という意味です。なるほどなぁと思いました。この表現、シンプルだけど、とてもリッチな気がしませんか。たった十一文字なのに、ハリウッドの超大作SFアクション映画を一本見た時のような、幸福感を感じました。

どうにかこうにか、ことばを紡いでいるけれど、綻びばかりが目立つ私なんか、こういう表現に出会うと、楽しくなってしまいます。私はいまはアレだけれども、いつかはこういう表現が連発できるような書き手になりたい、と強く願うのでした。

では最後に、私「大沢月麦」を、別の言葉で言い換えて、新たな表現を作りたいと思います。
「大きな沢の向こうに、豊作を予感させる綺麗で大きな月が出ている」

…うーん、そのまんまでした。



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