【詩】鰐
私はワニになれているだろうか
立派なワニになれているだろうか
その牙は敵を砕き
弱いものを捕食する
太古の昔の大きな生きものの
末裔みたいだと
おだてられ
威を張る
だがひとたび
街に出れば
撃たれ
皮を剥がれる
剥がされた皮は高級品になり
むきだしになった肉は
好奇の目にさらされる
「こんな良い状態の皮は、二度と手に入りませんよ」
「鶏肉みたいな味がする」
これ以上のことはなし
ただそれだけ
「だったらワニなんかやめろ」
そう簡単に言うが
それでも自分で選んだ道は
ぬかるんでいて
抜けたくても抜けられやしないんだ
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