マガジンのカバー画像

吐露

115
初期作品
運営しているクリエイター

2014年12月の記事一覧

翳り

あなたは宙に浮いているようですね。と言われました。実際に浮いてはいないけれど、私はなぜか褒められたような気持ちになり、そういう風に見られるのも素敵、と思いました。

体に、心に、貧しさという烙印がある私。いまだに焼き消す火を自分に放てないでいる私。時々死にたくなる程に今を逃れたいなら、身軽に宙を回転するくらいが楽しい。魂など放り投げて何かに洗脳されたい。冷静に考える自分など捨てて楽になりたい。それ

もっとみる

憧れ

環境汚染に耐え、忍ぶように ひょろりと伸びた名前も知らない木。誰も見ない、気にもしない一本の木。そんな木に芽吹いた葉が一枚。強風に煽られて飛ばされた。

空を舞い上がる。憧れていた鳥になれた気分だった。その一瞬を誰かが見てくれた。憧れていた美しい花になれた気分だった。

風により 空の上を下を浮かんだり沈んだりしながら流された。そして着地した。そこでカラカラに乾き、枯れた。バリバリと誰かに踏まれ粉

もっとみる

ぼくの心に また虫が湧いた。ぼくの心は透明で小さくてヒンヤリとしている。外側はゴムみたいに強い弾力がある。そんなに おいしそうには見えないし、特別 魅力的な匂いもしないはずなんだけど。

例えばキャベツ。バリバリバリバリ虫に食べられているのに、なぜあんなにうれしそうなの?なぜあんなに優しいの?ぼくは胸が痛い。痛いから、うれしくなんかない。虫は ぼくの胸のあちこちをガジガジかじって小さな穴をあけてい

もっとみる

止まる息

ふううぅと大きな息を吐く。気付くと止まるボクの息。ウタに変えよう大丈夫。ずっとずっと歌ってきた。自作自演で構わない。楽器なんてなかったけれど、息さえ吐ければ大丈夫。寂しい時は少し長めに。楽しい時は踊りつき。

緑重なる呼吸にも、色鮮やかに香る呼吸にも適わない。だけどボクのウタも満更じゃない。負けてないかもしれないよ。

ボクを助ける最高のウタ。必ず救うよボクのこと。必ず助けるボクのこと。

ふうう

もっとみる