「山岸凉子傑作集①あやかしの館」山岸凉子
4月に少女まんが館へ行って読んだ漫画の感想です。
🌼「山岸凉子傑作集①あやかしの館」山岸凉子
めちゃくちゃおもしろかった!!短篇作品集。
書誌情報:山岸凉子「山岸凉子傑作集①あやかしの館」(1983、フラワーコミックス、小学館)
収録作品:「あやかしの館」「化野の…(あだしのの)」「夜叉御前」「汐の声」「ある夜に」
「ダ・ヴィンチ」で連載していた「舞姫―テレプシコーラ」以来の山岸凉子作品。もはや初山岸凉子と言ってもいいくらい。
とにかく「汐の声」が読めて感激!なんとなく棚から選んだ一冊だったのですが良い短篇ばかりで読み応えがありました…!傑作集①とありますが、何冊あるのだろう?(追記:マンガペディアによると①まででした)そして収録作品ぜんぶ読んだけど表紙のレオタード姿の女性はいったいどなたなのか。。🤔
「あやかしの館」
無頓着な叔母の家に居候する話だったと思うのですが、あやかしよりも叔母の少女性の描写がちくちくと自虐的にたたみかけてくるのが痛気持ちよかった…
住居についてのマネジメントって人間性とその人の大人度が表れますよね…
「化野の…」
夜道を歩く仕事帰りの女性の話。家のほうまでいくバスに乗りたいんですけどなかなか乗れないんですよね。それでどんどん家から遠ざかる、帰れなくなった猫のようなお話です。
自分はずっと「化野」を「北野」と読み間違えていて、小田急バスに北野行きというのがあるのですがその辺を舞台にした話かとずっと思いこんで読んでいました…北野終点だもんねーみたいに自分の頭の中では辻褄があってしまっていました。。
「化野」は京都にある、さらされた火葬場のようなものだそうです。
「化野の…」ではなかなか家までたどり着かず不思議な領域に迷い込んでしまうのですが、どんなとこにたどり着いたかよく思い出せない…でもすごくおもしろかったです!おばあちゃんとか女の子とも行き違った気がするんですが、気になる方はぜひ読んでみてください。。
「夜叉御前」
こういう話おもしろいです~
近親相姦ものですが、同じメンバーで同じ生活をしているのに前提条件や設定が異なった認識をしている者だけが他のメンバーとは全く異なる「現実」を生きている…という設定に燃えました!!!🔥
オチの種類としては映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」のような…(違うか)
「汐の声」でもそうなのですが、恐ろしいものを実際に見るところも怖いのですが、『なんだかここにあれがある気がする……怖い…』とまだ見ていないけど恐れだけを感じとる場面は癖になりますね!
「汐の声」
ついに読めたーー
なんかでも有名作すぎて、あのシーンに到達したとき「あっこの場面知ってる…」ってなりました!
これけっこう話の運び方や恐怖シーンも怖いんですけど、「お前がいちばん見えてるやろ」と永遠にツッコめるところがちょっとおもしろかった。。
これでわたしも「古い薬」の怖さがわかるようになりました♡
「ある夜に」
これは寓話的ですっごく読み応えがありました…!
これについては「山岸凉子漫画感想ブログ」さんの感想がとてもためになったので(あらすじも詳しく紹介されています)作品既読の方で興味のある方はぜひ読んでみてください。
わたしも「山岸凉子漫画感想ブログ」のブログ主さんがおっしゃるように、『一人で歌を歌って生きたっていいじゃないか』と思いながら読みました。
でも一人の欲張りな人以外の人たちに共通するのは自分の意志で人生を過ごしてきたこと。
おばあさんが花の上を歩けるのは、自分の意志を自分のやりたいことそのものに注いで生きることができなくて、家族のために自分の資源(体力や時間など)を費やして生きてきたから、最後にはそのおばあさん自身のための柔らかな花の道が用意されているのかな、
歌を歌って生きてきた人は自分の意志を自分のやりたいことに注げたから、もし他人にあわせて生きていたら感じていたであろう窮屈さを最後に石の道を歩くことで与えられ、帳尻あうようになっているのかもしれないな、と考えました。
よかったセリフを引用します
それにしても「山岸凉子漫画感想ブログ」さんの感想はさらっとしているのですが目の付けどころがおもしろいのでふむふむとたのしく読めます。桃のコンポートで霊を退治する話がすごく気になるので読んでみたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?