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「野球短歌」!,阪神版”サラダ記念日”ブックレビュー(令和6年2月16日付「日高新報」掲載)

二月になっりプロ野球もキャンプが始まった。
ここに「サラダ記念日」の阪神タイガース版ともいうべき本がある。
一昨年のことである。阪神タイガースは開幕九連敗で始まった。
この本の書き出しの1ページ目は、
ー いつまでたっても阪神が勝たないから、短歌を作ることにしました。ー
著者はこれまで短歌を作ったことがなかったそうだ。
プロ野球の試合は年間143試合。著者はここから阪神タイガースの全試合について短歌を作っていった。阪神愛に溢れた「サラダ記念日」なのである。

阪神が連敗続きのときの歌。
 阪神のホームは今日も遠すぎてどこにも帰れぬ私みたいに

阪神が接戦で目が離せない状態のときの歌。
 ベンチから身を乗りだして近本が叫ぶを見て泣いてしまった
(近本は阪神の1番バッターである。昨年はベストナインにも選ばれた名選手)

 晴れの日はサトテルの頬の黒線を見るだけでもいいまあ負けたけど
(サトテルは佐藤輝明選手のこと。いつも日よけの黒線を目の下に引いている)

今日だけは各駅停車でサヨナラを何度も見ながら帰る

 断崖絶壁で一輪さいている花を伊藤将司といいます
(伊藤将司は阪神の左ピッチャー。いつもギリギリの投球をしている。険しいところで勝っている)

 走塁でめくれた土を丁寧にならす中野になりたい
(中野は阪神の二塁手。昨年二塁手でゴールデングラブ賞に輝いた)

 打てれば勝っている試合が十はあり打てないから十は負けてる
(阪神はとにかく打てません。一昨年のこと)

 絶対の絶命だった九回に誰にも打てない岩崎の球
(岩崎は阪神の絶対的守護神。九回一イニングだけ抑えるピッチャー)

 サイクルを狙う中野を追いかけてどんどん晴れていく、土曜日!
(ホームラン、三塁打、二塁打、ヒットを一試合で打つとサイクルという)

 もし辞書で代打満塁を引くと小野寺暖と書いてあります
(小野寺暖は阪神の控えの選手。大事なところでいい仕事をしています)

 待ち合わせ遅れた訳を正直に「大山の打席が見たかった」
 (大山は阪神の四番バッター。そりゃ、四番の打席は誰だって見たいでしょう!)

 夕暮れの甲子園の空、上昇するように伸びゆく虹を見た

 眠りより浅いフライで本塁へ帰ってこれる熊谷が光る
(熊谷は阪神一の快速ランナー。代走専門で使われる)

 右中間をモーゼのごとく切り開く梅野の打球が夢をつないで
(梅野は阪神のキャッチャー。好機によくヒットを打つ)

 マウンドが急に孤独に見えました私にできることがなにもない
(阪神のピッチャーが攻められて塁上にランナーを溜めているときのファンの気持ち)

阪神の4番バッターが好機で打ったときの歌。
 大山のタイムリーを見て給食がカレーだった日のことを思いだしてた

阪神が、めっちゃ弱いときの歌。
 三分で攻撃が終わる阪神はウルトラマンにも負けてしまうな

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