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修行中の天狗

時は江戸時代
私は10代の娘です
髪を結い
花柄の赤い着物を着ています

「あー疲れた!」
娘は峠の茶屋でお団子とお茶で暫しの休息です。

そこに土埃をたてて大慌てで走ってくる若い男性が2人

ペラペラの着物がはだけんばかりの勢いで
髪の毛も振り乱し
藁草履も脱げてしまいそうなカリカリの2人

血相を変えて
「大変だ!大変だ!大変だ!」
大声で走り寄ってきます

もうただ事ではありません

「どうしたん?何が大変なん?」たずねる娘に

「俺らは天狗やねんけど・・」

天狗⁈    
見た目は天狗ちゃうやん!
あっ!
鼻がピノキオみたいにちょっと長いわ
そやけど  
天狗って〜!?

「天狗やったらなんとかしてよ!」
娘もこの時は何が起こるのかと恐ろしい気持ちで
自称天狗に詰め寄ります。

天狗は血相を変え
悲しみで歪んだ顔でこう言いました

「俺ら 修行中の天狗やから何にもでけへんねん」


阪神・淡路大震災の揺れで目覚めたのはその直後でした。

今でも修行中の天狗の悲しそうな顔を思い出します。

今なら背中をさすってあげたい

修行中の天狗は一人前になったかしら?


時々思い出す夢の話です♡


写真は高野山 三昧院にあります天狗の木です

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