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自由が生み出すもの

動く、食べる、寝る。

本来、生きるということは至極単純な営みです。

野生に生きる動物などは、まさにこの根源的で単純な営みに集中して生を全うしています。

弱肉強食、自然淘汰、食物連鎖…

野生にはこれら自然界の厳然たるルールや価値基準に背く生き物はまず、いません。

皆一様に生存競争を生き抜くための行動を選択し、より生き抜く確率を上げるために自らを進化させていきます。

そこには迷いも躊躇いもありません。

私たち人間も、かつてはそうした枠の中に収まっていました。

ところが…

いつからかヒトは、いくつもの複雑な価値観を生み出し、他の生物には理解すらできないほど多種多様な生き方を選び取ることができるようになりました。

人間という生き物は、例え生物としてどんなに非合理的なことでも、自らの意志によって想像し、あまつさえ実行してしまいます。

生物としての遺伝的、本能的な欲求を拒否し、全く別の価値観を用いて行動を選択することが有り得るのです。

自然界では、女王アリは死ぬまで女王アリですし、虎は馬とは友達になりませんし、ニワトリは空を飛ぶ鳥を羨むことはありません。

人間の世界では、スラム街に暮らす少年が大統領になることも、子孫を残せない同性同士で番いになることも、手足の不自由を抱えながらスポーツ選手になることも、耳の不自由を抱えながら音楽家になることも、すべては意志と行動(と運)次第で可能なのです。

これは自然界に例えると、働きアリが待遇に不満を持ってクーデターを起こしたり、渡り鳥が一羽だけアウトローを気取って自ら群れを離れ、旅に出たりするようなものです。

人間には、「その種なら絶対に取らない行動」というものが全くと言っていいほどないのです。

■自由≠幸福

では、本能をコントロールできる人間は自由で幸せで、本能に縛られて生きる自然界の動物は不自由で不幸なのでしょうか。

この問いについては、おそらく、YESと言い切れる人は少ないでしょう。

「自由」という言葉からは、開放的で希望に満ちたイメージが思い起こされます。

しかし、実際には自由=幸福ではない、ということも理解しているのです。

それは何故でしょうか。


■自由だから不安になる

私たちは、自由であるからこそ生まれる苦しみのことを知っています。

その名は「不安」と「責任」です。

自らの意志によって行動を選択するということは、その結果を自らの責任として受けざるを得ないということでもあります。

選択した行動の結果は、必ずしも思い描いた通りになるとは限りません。

時には完膚なきまでに打ちのめされることもあるでしょう。

そうなってくると、当然「この選択は本当に上手くいくのか」という迷いが生まれます。

この迷いは、「不安」となって私達を悩ませ、行動を躊躇させる枷となります。

■不安から逃れるためには

厄介な不安を遠ざけ、前向きに自由を謳歌するための方法論を、多くの人が編み出してきました。

それは訓練だったり、占いだったり、信仰だったり、自己啓発だったり、様々です。

自由から来る不安を断つ手段として最も単純なのは、「判断しなくて済む」ということです。

占いも信仰も、神様だとか星の位置関係のような、自分には到底理解の及ばない領域についての情報を、一方通行的に与えられるものです。

このような自己判断の必要性を奪ってくれる理屈というものは、自由からうまれる不安を遠ざけることに一役買ってくれます。

しかし、時にそれらは人の思考の自由を奪って思い通りに操るための手口として使われることもあります。

結局のところ、考えることから逃げたくても、騙されないためには自分で考えて判断するしかないのです。

世知辛いですね。

■理想はロボットか、仏様

最も理想的な解決方法は、すべての選択を後悔しないことです。

つまり、全く失敗しないか、思い通りにならなくても失敗だと思わないことです。

とはいえ、多くのヒトはロボットにも仏様にもなれません。

■私がnoteで書こうと思っていること

前置きが大変長くなってしまいましたが、私はnoteでの連載を始めるにあたって、現時点では下記のようなことを書き溜めていこうと思っています。

①感情プロファイル

不安に満ちた現代社会を生き抜くために、普段意識しないでいる感情の正体を、客観的な視点から探ります

②信じる者は救われる?

占い、宗教、自己啓発など、不安から逃れるために生まれたコンテンツたちを、客観的な視点で分析します

③S・N・S(ソレッテ・ナンダカ・シンドイネ)

繋がり過ぎ社会に憑かれた人々に向けて、少し距離を置いた視点で気楽に向き合う可能性を探ります

■机上詩片シリーズ
同じメッセージでも、寓話的にフワッと書いて、サラっと読み取ってもらうことができるのが詩の面白さだと思います。

■おわり

といったところで、今回はこの辺で。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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