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僕らは加害者なのか?(ショートショート)【音声と文章】

山田ゆり
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※note毎日連続投稿1700日をコミット中! 1627日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも数分で楽しめます。




おはようございます。
山田ゆりです。

今回は
僕らは加害者なのか?(ショートショート)
をお伝えいたします。



「ふぅ~」
マサオは大きく息を吐いた。


今期の決算がやっと終わった。


経常利益と前期損益修正損の金額を見てひとり小さくつぶやく。
「前期損益修正損がなければ従業員の給与・賞与はもっと多いはずなのに」



かつての会社のトップと一部の上層部だけで行われたその件。

それが明らかになった時は、それに関与したトップ及び関係者は既に退職され、亡くなられた方も数名いた。

その金額は一度で精算できるものではなかったので、会社としては10年計画でその乖離を正すことに決めた。
そのため、毎期、前期損益修正損が計上されるようになった。




過去の人達が享受した利益。

そして、当時のことを何も知らない僕たちがその責任を負っているのだ。
昔の上層部だけで行われたその件について
当時関与していない現在の僕たちがその尻拭いをしているようなものだ。


決算上では営業利益も経常利益もたくさん出ているのに、莫大な特別損失の為に純利益が少し出ている状態で今期も終わった。


考えてみればおかしなことである。
なぜ、関係のない僕たちがその責任を負わなければいけないのか。


通常の利益活動から出る経常利益。
僕たちは本来、この経常利益に値する仕事をしているのだ。
もっと胸を張ってもいいのだ。


人によっては2年連続で昇給が無い人もいる。
それはその人が無能なのではなく
その人より僅かに優秀な人を昇給したらそれ以上の余力が会社には無かったから、普通の人の昇給まで手が回らなかっただけだった。



バカげたことである。
今は亡き人が行ったことを正すために
当時のことに全く加担していない僕たちが
その責任を負っている。

僕らは本来、もっと待遇が良くてもいいはずなのだ。
経常利益がそれを証明している。




最近、テレビなどの報道で賑わっているあの件も同等だ。


なぜ、加害者ではないのに、その責任の一端を今いる僕たちが負わなければいけないのか。

ある意味、僕たちも被害者なのだ。


だから
何も知らずに加害者を責めるのはキケンなことだと僕は思う。


加害者と一般的に言われている人たちの中に、実は被害者である、
そういう人が存在するかもしれないことを肝に銘ずる。




今回は
僕らは加害者なのか?(ショートショート)
をお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。








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