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英語に「もったいない」はない!?日本人特有の概念に迫る

オーストラリアに留学中の翁です。今回は日本とオーストラリアの「捨てる」という概念の違いについて書こうとおもいます。

日本には「もったいない」という言葉があり、ご年配の方々はことに口癖のように使います。最近の若い世代はあまり口にしない言葉かもしれません(由々しき事態ですな)が、日本人の骨にまでしみている概念であると言っていいでしょう。

実際、日本の技術が効率的なように爆発的に発展したのもこれによるところが大きいのではないでしょうか。「いかに無駄なく資源を使うか」「いかに無駄なくエネルギーを変換するか」こういったことにこだわりがちですよね。

さて、本題の「英語にもったいないはない!?」ですが、そもそも概念的にあまり「もったいない」が発達していません。たとえば、家庭において食べ物を捨てる、残すというのは日常茶飯事で、まだ食べられるものでも躊躇なくゴミ箱にいれます。また、食材を扱う際にも少し悪くなっているからというだけでゴミ箱いきです。電気などでもそれが見られ、テレビは人がいなくてもつけっぱなし、電気は人がいなくてもつけっぱなしなど、節電にうるさい今の日本では「ん?」と心に引っかかるようなことが多々あります。

翁自身、いくつかの家庭しか知りませんから、当然サンプル数は少ないですし、もちろんオーストラリアの家庭全部がそうとはいいません。しかし、同じオーストラリアに留学経験のある方々の話を聞くと、やはりそういう傾向が強いようです。

実際に英語には「もったいない」という言葉はないのかですが、ありません。厳密にいうと、一単語では表せません。また、「もったいない」のオリジナルの意味とも少し違ってきます。

① It’s wasteful.  (それは粗末にすることだ)
② That’s a waste of time. (時間の無駄だ)
③ It’s too good for me. (私には良すぎる)
④ How stupid of me! (私はなんて愚かなんだ)

これらはそれぞれの事象に関してしかカバーしていないのです。ですから、ものを使う、立場を謙遜する、感謝するなどオリジナルの意味がどれほど使い勝手がよいか分かります。

「もったいないから全部食べよう」「もったいないから使いたくない」「私にはもったいないお言葉です」「そのようにもったいないことをして頂いて感謝の念に堪えません」など、日常的に使います。

では「もったいない」の概念がどこで生まれたか、どうやって生まれたかについて考察していきたいと思います。

「もったいない」は元々仏教用語であり、「物体ない」と書きます。ここでいう物体とは、もののあるべき姿を意味しており、否定形がついて、もののあるべき姿にないということになり、神仏に不都合であるということにつながります。従って、日本の仏教文化の中でうまれた神仏に感謝する、という姿勢を表しているいえるでしょう。

日本は島国で、大きな人口増加を経験しています。江戸時代や明治時代に起きたこれらの人口増加は、食料自給率に比例したものではなく、飢餓への恐怖は少なからずあったと思われます。その中で、食べられるもの、使えるものは最後まで頂こう、という生活の知恵と仏教の概念が結びついたものが今日のもったいないであるといえるかもしれません。

また、ケニアの故ワンガリ・マータイさんは日本の「もったいない」を、「3R&リスペクト」の単語として世界に向けて発信し、熱心な環境保護活動によってノーベル平和賞を受賞しています。彼女はケニアの環境大臣でもありました。


実際、国外に出てみると、日本の特異さがよく分かります。この「もったいない」という概念を一人でも多くの人に伝えられたらいいなと思っています。

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