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あなたのお腹は大丈夫??〜便秘でお悩みの人にやって欲しいこと5選

こんにちは!
漢方大好き薬剤師 さいとう けいこ です🌸
本日は女性の大敵『便秘』にフォーカスしてみました。
よければ最後までお付き合いください☺️


1. そもそも便秘ってなんだろう?


あなたは「便秘」と聞いて何をイメージしますか?
・便が出ない
・便が固い
・便は出るけど出しにくい
・便意がない

他にも色々思い浮かぶと思います。
これら全て正解ではあるけれど、ちょっと足りない部分もあります。

この記事にたどり着いたあなたは、きっとお通じについての悩みや疑問をお持ちだと思います。
それは自分のことかもしれないし、ご家族の誰かのことかもしれません。

少し検索をすれば、世の中には沢山の情報が出てきますよね。
いったいどれが正解で、何をやったら良いのか?
そんな風に悩む方も少なくないと思います。

そこで、まずは「便秘」についての根本的な言葉の意味や、これまで見聞きしてきた中での思い込み・勘違いを見直していきましょう。

2. 便秘の定義とは


定義なんて言われると小難しいなと感じるかもしれません。
ですが、これを知る事で「便秘」の状態を正しく知り、世の中に溢れる情報をよりスムーズに理解し取捨選択が出来るようになります。
また病院を受診した場合でも、医師が話している言葉がより理解できて相談もしやすくなります。

そこで、まずは現代医学で指標となっている「便秘」の定義についてお話ししていきます。

『便通異常症 診療ガイドライン2023』では、便秘と慢性便秘についての定義が書かれています。
もの凄くざっくり簡単にまとめると、以下の2つになります。
・便秘とは「便が固くなったり量が少ないことでスッキリ出ないこと」
・慢性便秘とは「便秘によって日常生活や身体に支障をきたす状態・治療が必要な状態」

国や地域によって違いはあるものの、おおよそ10~15%の人が便秘であると言われています。
性別や年齢にもよりますが、一般的に若年であれば女性が多く、加齢とともに男女差は無くなっていきます。
また、性別や年齢以外にも便秘になる原因としては、身体活動性の低下、腹部手術歴、特定の疾患や薬物治療の影響などがあります。

そして、ここが大切なのですが、自分は便秘なのかな?と迷った時に覚えておいて欲しいキーワードがあります。
・自発排便が週3回→3日に1回しか便が出ない
・兎糞状または硬便→コロコロうんち、またはとにかく固い便
・排便時のいきみや残便感→いきまないと出ない、便は出たけどまだ出そう・出し足りない

この3つです。
どれか1つでも当てはまれば、あなたは立派な便秘ちゃん。

3. 便秘治療の現状をみて思うこと


「若い頃は毎日出ていたのに、最近は1日おきになって苦しいんだ!」とイライラして受診してくる年配の患者さんは意外と多いです。

便の固さは普通で1回に出る量も変わりないけど、丸1日出なかったら苦しい。
そりゃそうですよね。

一般的には「今出した便」は3日前に食べたものだと言われています。
つまりお腹の中には常に3日分の便が溜まっているようなものです。(当然そうじゃない人もいます)

普段からその状態で毎日出ていた人が、もし1日おきになってしまったら。
2日分の便を一気に出せればまだ良いけど、そんな都合よくいくわけもなく。
そのまま放っておけば、どんどん溜まって苦しくなって便も固くなって悪循環です。

このように様々な状況を考えたとき、医学的なガイドラインとしての定義だけに当てはめてしまうと私たちの身体は健康的には生きられません。
当然、実際の医療現場でも本人が便秘だ・苦しいと訴えれば、薬物治療を始めるのが一般的です。

実際、便秘薬が処方されるケースとしては、
①実際に患者が便秘を訴えて処方される
②なんらかの病気からくる便秘の症状緩和や、薬物治療の副作用予防・対処として処方される
ざっくりとこの2パターンになります。

②のケースだと、元々の病気や治療の兼ね合いがあって難しいため、一概に「これが良い」と言えない場合もあります。
けれど、①のケースはしっかり自分と向き合って対処すれば、薬に頼らずに便秘解消できるであろう人も沢山いるなと日々感じています。

ですので、そういう方には是非この先も読み進めて頂けたら嬉しいです。

4. 『便秘に効く』という謳い文句は蜜の味?


便秘の治療・対処方法を考えるうえで最も大事なことは「問診」だと私は思っています。
・毎日スッキリだった頃と今は何が違うのか?
・生活リズム、運動習慣、食事習慣、人間関係やストレス
・今の便の状態、量、頻度

細かくあげればキリがないのですが、これらを聞かずに便秘の治療は出来ないんじゃないか?とさえ思っています。

私はいち薬剤師として日々たくさんの便秘薬が処方されている患者さんとお話ししていますが、正直なところ私の体感として、便秘薬の効果がちゃんと出てスッキリ快適な生活を送っている人は半分くらいじゃないかと感じています。

その理由の一番大きなところは、医師との間でしっかり問診が出来ていない・自問自答をして生活を見直せていないということ。
つまり、その人自身の問題点が明確になっていないということだと思っています。

病院に行って治療することだけでなく、市販薬を買ったりインターネットで調べて便秘に良い方法を試してみたりという人も同じです。
いまの時代、調べればいくらでも情報が出てきますよね。
ですが、どんなに良い情報だったとしても自分が「なぜ便秘になっているのか」が明確になっていないと、折角の有益な方法も全く意味がなくなってしまう可能性だってあります。

闇雲に信じて情報に踊らされて、あれもこれも試して、でも結局信じきれずにやったりやらなかったり。
結果、変わらないか更に悪化するか、なんてことにもなりますよね。

便秘に限った話ではないけれど情報も食べ物も詰め込み過ぎたら消化不良を起こします。
自分に合わない食べ物を食べたら蕁麻疹がでるかもしれません。
消化不良起こしてるのに、さらに食べたら具合悪くなりませんか?
自分の体に合わないやり方を、いくら実践しても効果が出ないばかりか余計に酷くなる場合だってあるんです。

自分に合うか合わないかは、やってみないと分からないことも多いので実践は大切です。
ですが、それをちゃんと振り返って評価することが抜け落ちると、折角の良い事も意味がなくなってしまうケースが多いのも事実です。

あなたは情報ジャンキーになってませんか?
詰め込みすぎて消化不良になってませんか?
便秘対策をした後に、ちゃんと身体の声を聞いてあげていますか?
手当たり次第に試しまくって、やる事だらけになってキャパオーバーになってませんか?

5. 漢方からみた便秘


中学校の理科の授業で「単細胞生物」と「多細胞生物」というのがあったのを覚えているでしょうか。

単細胞生物の代表はアメーバです。
多細胞生物は私たち人間を含む大多数の生き物があげられます。

そんな多細胞生物の起源に、腔腸動物というものが存在します。
これはクラゲやイソギンチャクが代表例で、脳を持たず、食事を取り込むと消化する、出口の肛門が基本構造の生命体です。

つまり生命の根源は「食べて→消化して→出す」これだけだとも言えるのです。
だから、この循環が乱れるのは生命の危機といっても過言ではないのです。

漢方の理論の詳細は今回省きますが、ベースは以下の3つ。
・陰と陽
・気・血・水
・五行(木・火・土・金・水)

この五行は様々なものが5つの要素として分類されています。
その中で身体の機能を分けたのが五臓、「肝・心・脾・肺・腎」の5つです。
今回は便秘のお話しなので、五臓の中の「脾」についてみていきます。

脾とは現代医療でいうところの「胃腸を含む消化に関わる臓器」を表しています。
この脾の役割は、食事からエネルギーを取り入れて気・血を潤すこと。
脾が弱れば気・血も足りなくなったり滞ってきます。
また水分を吸収するのは大腸がメインなので、そこもバランスが崩れていきますよね。
こうなってくると、肌が乾燥したり血色も悪くなる、爪が割れる、気力低下、体力低下、不眠やイライラなど様々なトラブルに繋がっていきます。

そもそも「気」には2種類あって、生まれ持った先天の気と生きていく中で食事などから得られる後天の気があります。
脾が弱るということは、後天の気が得られなくなっていき、生まれ持った有限の先天の気をすり減らして生きているようなものなのです。
要するに生命力が低下していくということです。

それやばいじゃん!と思ったそのこあなた!
正解です!(笑)

五臓の他の臓器もそれぞれに大切な役目を果たしていますが、長い目で見たときに脾が弱っている事は生命としての一大事なんです。
そして、便秘というのは正にこの脾が弱っている、もしくは正常に機能していない状態といえます。
逆にいえば、便秘になる=身体からのSOSです。
胃腸からの危険信号なんだと思ってください。

だから1日でも早く、1日でも若いうちに、脾を整えて元気にしてあげることが健康に生きるための秘訣です。

6. 便秘でお悩みの人にやって欲しいこと


じゃあ、これからどうすれば良いの?
ということで具体的にやってみて欲しいことをお伝えしていきます。

ですがその前に、これだけは覚えておいて欲しいことがあります。
この方法「だけ」が正しいわけではありませんし、そう言うつもりもありません。

漢方好き薬剤師の私が、これまで得た知識と経験に基づいてたどり着いた方法です。
かつ私自身も実際に健康維持を考える上で、生活に取り入れていることをお話ししていきます。

①自分の便の状態を確認すること

ブリストルスケールというのをご存知でしょうか?

これを見て、日々の記録をつけること。
まずは現状把握が最初の課題です。
便が水に浮くかどうかも是非一緒にチェックしてみてください。
これに、日々の食事や生活習慣での気付きなど、気になることを一緒にメモするのも良いと思います。

②1日に食べた野菜の量を意識すること

野菜=食物繊維の摂取量です。
これが便そのものの量と、良好な便を作る上でもっとも必要な要素になります。
やわらかく、適度に水分を含んで水に浮くバナナ状の便になる為には欠かせません。

私は一度に沢山の量が食べれないので、野菜だけではなく玄米や雑穀米を積極的に食べています。玄米にするだけで食物繊維量がアップしますよ。
※ただし、玄米は消化しにくいのでお腹の弱い方はよく噛んで、お粥にするなどして試してくださいね。

③適度な水分補給

大人であれば身体の60%くらいは水分で出来ていると言われています。
そして食べたものから水分を吸収するのは大腸の役割です。

ここに便が大量に渋滞して占拠していたら、腸は水分吸収する為に渋滞している便からどんどん水分を吸収して、どんどん固い便になっていきます。

だからこそ、普段から水分を意識すること、特に食事中に一緒に水分を摂ることも大切です。

④夜は食べ過ぎないこと

胃腸は「脾」とお伝えしましたが、この脾の時間がちょうど午前9時~11時頃になります。
この時間が一番元気で活発に動ける時間=排便したい時間になります。

逆に夜の23時以降に胆や肝の時間がくるので、この時間は消化管の回復・お掃除に最適となるのです。
だから、夜にたくさんのご飯を食べてしまうと回復・お掃除の時間になってもまだ消化・吸収をしなければいけない状態になってしまい、お掃除完了する前に朝が来てまたご飯を食べる…という状態になってしまいます。

たまになら良いのですが、これが常習化すると胃腸にとっては休む暇が無くなり、かなりのブラック企業だと思います(笑)

⑤土用の期間に夕食断食

土用って何?という方もいると思いますが、そんな方はこちら(外部サイトに飛びます)を読んで戻ってきてね。→https://oggi.jp/6798178

土用は胃腸の時期になります。
春夏秋冬の変わり目に土用が入るので、1年に4回あります。
この期間に胃腸をしっかり休めて回復させてあげる事はとっても大切です。
特に季節の変わり目で調子を崩す方は、体調全般を整える上でも重要になってきます。

16時間ファスティングが有名ですが、漢方的には夕食を抜いて16時間にするのを強くお勧めしています。
それは④にも書いた通り、夜眠っている間がお掃除の時間だからです。
ちゃんとお掃除をして、胃腸が動く(蠕動運動をする)ことで、翌朝のスッキリ排便に繋がっていきます。

最後に


ここまで読んでいただきありがとうございました。
もうそんなこと知ってるよ!という話ばかりだったでしょうか?
それとも、初めて知った!という話もあったでしょうか?

胃腸の蠕動運動は90分サイクルとも言われています。
90分に1回グーっとお腹が鳴る感じ。
お腹が鳴ったから「お腹が減った」とよく言われますが、本当は胃腸がお掃除の為にググッと動いただけで、やっと一仕事終わった~、という合図でしかないんです。
もしそこで「次の食事」を入れてしまったら…
やっぱり胃腸にとってはブラック企業だなと思います(笑)

「便秘」という症状は自分の生き方・考え方・精神的なものの捉え方など、生き様が現れているんじゃないかなと感じています。
・便が固い→何を我慢していますか?
・便が出しにくい→何か言いたいのに飲み込んでしまった言葉はありますか?
・お腹が苦しい→ストレス溜まってませんか?やけ食いになってませんか?

便秘という症状を身体からのSOSだと思って、これを機に自分自身と向き合って快腸快便で元気に幸せに生きていきましょう。

☆おまけ

この先は、「便秘改善に必要なこと」でお伝えした5項目の具体的な実践法と、排便記録シートをPDFでお付けします。
記録シートの記入方法や、実際の私の現状・食事など赤裸々に書いています。
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それでは、あなたの快便ライフを心より応援しております♡

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