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今年のスイカ

誰かが言っていた。
「今年のスイカ、まずいよね!」

ソウナノカ? 
梅とサクランボは不作だったが
トウモロコシは豊作で美味しかったっけ。
桃は大玉でいつもより美味しいし。
スイカの不作ってあんのか? 知らんけど。

よく分からないまま
そのワードがずーっと頭の中にへばりついている。


最近、カットフルーツがよく売れているらしい。
カットスイカももちろん売れているそうだ。
    (ある日の夕方のニュースで言っていた)

確かにそうだなと思う。
手軽でごみが出ないもの。
  (スイカやパイナップルの皮は生ごみが重たくなる)
スイカなんか、ひとつ買ったら簡単に冷蔵庫に入らない。
切ってしまったら胃袋に入れるしかなくなる。
そうなると昼ごはんがスイカになってしまう。
   (それで全然いいけども)

なので私はコダマスイカ派になった。
メロンの様な皮は捨てやすいし
一度に完食できる。

昔のコダマスイカは マズかったよな~
今は進化して美味いよなぁ~
とむしゃむしゃ食べる。

こう暑い日はものすごく美味い。
水分とミネラルが摂れるから
モリモリ食べる。

昼ごはんはコダマスイカ1個。
全然平気! むしろ素敵!と
お腹いっぱい食べる。

なのでカットスイカの出番は未だにない。
8分の1に切られているのも、
パックに一口サイズに切られているのも
一旦は見るが
プライドをかけて買わない。

自分には食べきる自信がある。
猛暑日は、スイカDayなのだ。


そんな先日
夫が安かったからと小さいスイカを買ってきた。

大きめのコダマスイカくらいのサイズだ。
400円と値段を聞いて驚いた。

さっそく切ってみると
中身は「赤」ではなく「サーモンピンク?」

「熟してない? ・・・・・」

じっと見る。
皮の白い部分もやけに分厚い。

ハズレだった。
味もノーグット。

スイカの素人が買うとこんなのを掴むのだ。

仕方ない、それでも食べるしかないでしょ。
フードロスなんかしたくない。
どんなに不味くてもこれはスイカなのだ。
それに私は

「スイカ大好きー!」と「スイカ嫌いの夫」に長年言い続けている。

「ありがとよ」と 時間はかかったが完食した。
世間は40度に近い酷暑。
暑ければ暑い程 水分と思えば食べられた。

だけど、やっぱ、コダマスイカが手軽で甘くて、ハズレなしでいい。
そう思うようになった。


今日もスーパーではカットスイカが並んでいた。
いい色した真っ赤なカットスイカたち。

「これを買う人はどうやって持ち帰るのだろう」
長年に亘るこの疑問は未だ解消されていない。
8分の1にカットされたスイカを他の買い物と一緒にエコバッグに入れたら
角が潰れて汁が出るだろ?
一番おいしい角の部分が潰れるなんて、
アメリカ人っぽく言うとしたら・・・

耐えられない!

そんなリスクは、絶対に回避したいので、
やっぱり自分はカットスイカが買えないのだ。
と心の中で確認。
   (実は毎回やってるルーティン)

視線を変えると丸まんまのスイカたちが目に入る。
大玉のスイカ、小玉のスイカ、
そしてコダマスイカ。

コダマスイカに手を伸ばしふと思った。

高っか~

コダマスイカが900円
サイズは小ぶり。1食分だ。

うーん。
もう少し大きければ迷わないのだが・・・

その横に小玉のスイカが1300円とある。
コダマスイカの2倍の大きさで、
値段は1.5倍。

今シーズン初の尾花沢スイカだし!
糖度12とも表示されている。

買いだ!


小玉と言えども歩くには重たかった。
肩に食い込み、フーフーと息も上がる。
ちょっと後悔したけど

筋トレじゃー!

と自分を励まし持ち帰った。

汗はダラダラ、喉も乾いた。
スーパーのスイカは既にひんやり冷えている。

イケイケ気分で桃太郎の婆さんよろしく
パッカンとふたつに切った!

なんじゃこりゃー!


なんで桃色なんだよ。

カットスイカは真っ赤だったじゃないか。

食べてみると
糖度12・・・・。うん、確かに甘い。
甘いけど、味が薄い。水で洗ったスイカか?
例えるなら「スイカ味のかき氷」だった。

脳内にあの声がこだまする。

「今年のスイカ、まずいよね!    

  まずいよね、まずいよね、まずいよね・・・・・

    まずいよね、まずいよね、まずいよね・・・・・」 


あれ、誰が言ったんだっけ・・・

!!!!!思い出した。
義理の弟の嫁だ。

あの子、魚介と果物だけは舌が肥えている。
彼女が言うなら間違いない。

豊作不作、出来の良し悪し
農作物は毎年ある。

農家さんの苦労には頭下がる思いだ。

だから値段で決めるとか、もうやめよと決めた。
今年はもうスイカは買わんだろうけど
コダマスイカは高くても買う。

これは自分の「コダマプライド」

訳の分からん方向に傾いたが
熱さに負けるな!と、生産者と自分の為に
不作に負けない覚悟をしたのであった。








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