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【roots】青年期 《12章》忘れた頃にやってくる

嬉しくて泣き出しそうな顔のまま花屋へ迎えに行った。ルビーが「どうしたの?」と心配そうに出てきた。
「ドレイク書房のドラゴンさんは、エイデンって言ってね。あのドラゴンだったんだ!!」
涙を目にいっぱい溜めて言った。
ルビーは物すごく驚いた様子を一瞬して「会えて良かったわね」と涙を手で拭いてくれた。
その様子を見て花屋のみんなが心配して出てきた。
「書いてる小説が上手くいくかもしれないんですって」とルビーが皆んなに説明してくれた。
皆んなが僕らを囲んで拍手をしてくれて、嬉しくてますます泣いてしまう。
「前からこんな泣き虫だった?」
僕はもうずっと。悲しいのか嬉しいのか感じない生活をしてきて、嬉しくて泣くなんて本当にびっくりしてる。ルビーに頭をくしゃくしゃに撫でられて照れ笑いをした。
「よし!お祝いに行こう!」ルビーが腕を組んで右手を高く上げた。
*****
ピンクのネオン管が相変わらずキラキラしてる。外からお店を覗いて「どっちがルーカス?」とルビーが言うと。ペリカン兄弟が走ってドアを開けてくれた。
「いらっしゃい!奥さんだね?僕はルーカス」右分けがルーカス。「僕はルークだよ」サラサラヘアはルーク。髪型が違って良かった。本当に良く似ていて見分けがつかないんだよ。
ルビーは笑って「初めまして、ルビーです」と手を差し出した。2人同時にルビーの手を握って握手をしガハガハと笑った。
2人は底抜けに明るい!気持ちがスカッとする。
後ろから「挨拶はもう良いだろ?」と声がした。
「オーウェン!!」僕が飛び跳ねて後ろを向くと
「そんなに嬉しそうにするなよ。一応大人なんだからさ」と小さな声で言って嬉しそうに笑った。
「デイブ、泣いたのか?どうした!?」オーウェンの声が変わった。
「嬉しくて、ね。」ルビーが答えて。
僕たちは席に案内されて座った。座るなり
「何よ。教えてよ」とオーウェンが前のめりになった。
「話は注文の後な〜」長くなりそうなのを察知したルークがメモを取り出した。
3人には充分過ぎるほど注文した。
「頼みすぎじゃないか?」とオーウェンが心配すると「お祝いだから良いのよ」とルビーが微笑んだ。「お祝い?なんだよ?」オーウェンもワクワクして聞き返す。
「書いてる小説が本になるんだって」ルビーが言った。
「まだわからないよ。編集さんに読んで貰ってるってだけ」と僕は謙遜して言って、すぐさまテーブルに身を乗り出して
「でね、その編集さんがね!あのドラゴンだったんだ!」オーウェンはえ?と驚いて
「間違いないのか?」と静かに聞いた。
「うん!ドレイク書房のエイデンさんだよ。老眼鏡の優しい人だよ」と僕が弾んで答えると
「へぇ。俺も会ってみたいな。次に会う約束は?」「したよ。数日後って」明らかにオーウェンの雰囲気がおかしかった。
「俺も行く」「うん。」「必ずだ」「わかったよ」変な空気になって、ちょうどその時。料理が運ばれて来た。その後は何も気にせず飲んで食べて歌って楽しく過ごした。

to be continue…

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