見出し画像

【roots2】 《12章》動き出す

次の日の昼過ぎ、デイブがルビーの元へ行き
「ミアを助けに行ってくる」と言った。
「ミアを?」
「動物園で見せ物にされてる。鎖で繋がれているんだよ」デイブの真っ直ぐな澄んだ瞳をルビーは一旦受け取ってから「チェイスの誘いにのるの?」と核心をついた。デイブはルビーは何でもわかっていたんだったと一つ息をついて
「かもしれないけど。知らんぷり出来ないよ。僕の命の恩人だ」と落ち着いた声で答えた。
「わかった…待ってて」
ルビーはリンゴ2つを4等分に切るとビニール袋にいれてデイブに差し出した。
「リンゴを食べるのか判らないけど」
ルビーの優しさにデイブは目を潤ませて受け取った。ミアが説明の出来ない繋がりで結ばれている人だとわかっていて理解を示してくれている。
ルビーはデイブの頭にクシャクシャと手を入れて「黙って行かないでくれたからよ。ありがとうね」と笑ってみせた。
デイブは強くハグをして「ありがとう。きっと力になるよ。行ってくるね」と言った。
2度と会えなくなるかもしれないなんて微塵も感じさせない普段通りの穏やかな声がルビーの心をグッと、不安で握りつぶした。

すぐさま階段を駆け下りて地下の工具室からチェーンカッターをリュックに入れると黒いパーカーのフードをかぶって地下道を急いだ。

オーウェンは階段を駆け下りるデイブを目撃して急いで4階に上がった。キッチンに手をついてうなだれているルビーを見て察知した。
自分も急いで地下に降りると工具室に入った。
沢山ぶら下がっている工具が一つない。
チェーンカッター!間違いないな。
オーウェンもチェーンカッターを探して地下道を走った。
駅でペリカン兄弟とキツネ三兄弟に電話を入れた。「動物園だ!大至急!!デイブがミアの所に行った。出来れば黒いフードの服でチェーンカッター持って来て!!」
オーウェンは来た電車に飛び乗った。
車窓から穏やかそうに外を眺めながら、懐にはチェーンカッターを隠して強く握りしめていた。
反対されたからって1人で行きやがって!!
本当は爆破寸前の急く気持ちを握り締める事で何とか抑え込んでいた。

14時。動物園。
デイブはミアの繋がれている所へたどり着いた。
柵の周りは悲しい声を上げて鳴くミアを動画で撮影する沢山の人々に囲まれていた。
上に掲げられた無数のスマホ。
異様な風景に、これ以上ミアを晒してはいけないとデイブは勢いを止めずに真っ直ぐに歩いてそのまま柵を飛び越えた。
足のチェーンに手を掛けた時、同じようにフードをかぶった男6人が同時にチェーンに手を掛けた。デイブがハッとして目をやるとオーウェンたちだった。後は任せよう!
チェーンを切って急いでミアに駆け寄ると顔を両手で包んで「ミア!すぐに来てやれなくてごめんよ。これ食べて」と口にリンゴを運んだ。
ミアはサクサクと食べて大きな瞳から涙を流した。デイブは優しく拭うと
「さぁ!急いで逃げて!!また会おう!!飛ぶんだ!!」と言った。
チェイスが来る前に、騒ぎになる前に、逃さなければいけない。ミアはデイブに頬擦りすると飛び立った。
瞬間「デイブ!!」とオーウェンが腕を掴んで柵を飛び越えさせた。フードの男7人組は走って動物園を出た。
息を弾ませ皆しゃがみ込む。
「みんな!ありがとう」デイブが言うと
「今日行くだろうと予想してたさ」とルークが汗だくの笑顔を向けてくれた。
「火事の後なのにごめんよ」とオーウェンに言うとオーウェンはデイブのおでこにゴツっと拳を当てて笑った。

「そういえばさ、チェイスが来なかったね」とタイラーが言った。
「まさか!!」7人は一瞬で走り出した。
ここに7人を揃わせて。狙いはルビー!!
今家にはルビーとリリーとディランの3人だけだ。
チェイスの標的はルビー!?
ルーカスの乗って来た車で家へと飛ばした。

to be continue…
*******

皆急いで!!🔥🔥🔥

毎週水曜日更新📙✨

ワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀
#長編小説roots #長編小説#小説#挿絵#イラスト#ワクワク#ドキドキ#喜び#幸せ#月ノ羽音#roots

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?