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母の老後

月盛です。
今自分が老後の暮らしに入っていると思うからか、この頃よく母のことを思い出します。
母は老後の暮らしを楽しんでいたように見えました。
老人クラブでの旅行で全国くまなく制覇していましたし、80歳過ぎてからフラを習ったりと好奇心旺盛で毎日じっとしていることが無いような暮らしぶりでした。
家の中もきちんと整えて、その上ご近所さんの集まる家にもなっていて趣味の手仕事を教えたりもしているというスーパーおばあちゃんだったのです。
口が堅いと言われてたくさんの方々の相談にものっていたようです。
昨年98歳で亡くなりましたが、寝ついたのもひと月程度で数か月前まで庭の草取りやら野菜を作るやらでこの分なら100歳超えるんじゃないかとみんな思っていました。
亡くなる3か月前ぐらいから少しボケが始まりましたが、家族にそこそこの介護をした気にさせて自分もあれこれ少しだけ我儘も言って、最後は可愛いおばあちゃんに戻りあっさりと逝ってしまいました。
(タイトル写真は曼荼羅絵をぬる母)

定点観察です。
居間は

トマトを切りパルスイートで浸ける、翌日にはOKです。
リセットです。

キッチンは

食事にはヨーグルトをつけます。
洗い物を済ませます。


最後の日々にベッドの上の母とたくさん話をしましたが「脚痛いな~」とか言いながらも決定的な弱音は言わないのです。
私はいじわるのように普段は聞けなかったことで質問攻めにしたりしました。
私「父さんと一緒で楽しかった?」
母「楽しくは無かったよ、頼りにはなるけどね 外面が良かったよね でも  
  立派な人だった」
私「何か苦労したことは?」
母「なんも無いよ 汗流して苦労したのはその時だけのことだからね」
私「何か自慢したいことは?」
母「案外上手に色々したよね 飾ったりしているのはみんな捨てても構わな        
  いしもう未練無いし」
模範解答の母だったが本当にそうだろうか。
父のお葬式の日に母は私に呟きました。
「本の中には理想の家族がいて、みんなにいい旦那さんで幸せだねって言われる・・・はいありがとうと答えるけど あれは私達で無い・・絵空事だ」
父が出した詩の本の中には、海辺で遊ぶ家族や、食事時の団欒の家族がおり読者からの便りにも(すてきなご家族で憧れます)などと書かれていました。
母の心のなかでも葛藤があり様々な悩みもあっただろうと思います。
90歳近くなってきた頃、目が悪くなり針仕事が出来なくなったと嘆きましたが、すぐに折り紙や切り絵を始めて今の自分が出来ることを探していました。
「ナンプレの本とパズル買って来て!」とかチャレンジするのが凄い!
たぶん戦っていたと思います。
今ならそういう気持ちを引き出させて少し楽にさせることができたんじゃないか・・・後にならないと分からないことなんですね。
自分がこれから歳を重ねていくごとに、母の気持ちも分かって行く事でしょう。
それではまた明日!

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