すべての若者に謝罪します

若者と呼ばれる世代のすべての皆様へ
数十年間大人と呼ばれてきた世代の代表として謝罪します

私たちはこの世界が平和に向かっていると
戦争紛争が無くなる方向に進んでいると
信じていました

その歩みは遅く
各国の足並みはなかなかそろわず
紆余曲折の繰り返しであっても
少しずつ少しづつ平和な世界に近づいている
本気でそう信じていました

国連発足当時から
拒否権を持つ常任理事国間の利害対立で
機能不全になることは指摘されていました
しかし根本的改革はなされませんでした

そして核兵器保有国が「勝ち組」として
新規に核兵器を保有しようとする国の妨害をする
それが常態化していました

それでも
第三次世界大戦一歩手前のキューバ危機を乗り越え
ベトナム戦争はアメリカ市民の意識を変え
ベルリンの壁は崩れ
ソ連は崩壊し冷戦が終わりました

ブッシュ大統領がイラク戦争の口実とした大量破壊兵器はありませんでした
そこで重要なのは
戦争終結後に米英首脳が誤りを認めて謝罪したことでした
これにより大国指導者は
「自国民をだまして戦争を始める」は難しいと認識したはずでした

大量の映像画像記録が瞬時に共有され
世界中で検証される情報化社会では
権力者が国民をだまし続ける事は非常に困難になった
私たちはそう信じていました

日本も自衛隊のPKO派遣がありました
多国籍軍への軍事費拠出もしました
それは国民や特定民族の権利と生命を奪う非民主的政権や
民間人への攻撃とテロを主導して世界秩序を脅かす政権を倒すためでした
またODAなど発展途上国への経済的技術的支援をしました
戦争紛争の原因となる飢餓貧困を減らすために努力してきました

そして戦争の抑止力には経済的財政的な結びつきがあります

アニメ「ガサラキ」(1998) のクライマックスで
日本の軍需企業の機密をどうしても入手したいアメリカは
禁じ手を使います
なんと在日米軍を動かして日本の工場を軍事制圧しようとする
次々に殺される非武装の工場警備員
そこに登場する車椅子に乗った着物姿の「右翼のドン」
総理大臣にアメリカ大統領へのホットラインをかけさせる
「今すぐ軍を引かなければ我が国が保有するドルを全部売る」
青ざめる大統領補佐官
「アメリカ経済が破綻します!」
大統領「わかった・・・・・君の勝ちだ」

私はこれを見て大笑いしました
そりゃそうだ
これだけ世界の主要国同士が経済的財政的に緊密になっていれば
それらの国同士で軍事侵攻なんてできるはずがない
私たちは本気でそう信じていました

経済的結びつき以外に
文化的結びつきがあります
イラン人がおしんを見て泣き
ロシア選手がセーラームーンで踊り
フランス人がカニカマにはまり
大英博物館が漫画展を開き
アフリカに回転寿司ができる

文化的つながりは
異文化への許容域を広げ
世界を小さくしていく

日本文化を発信することも
世界平和に貢献している
私たちはそう信じていました

国際宇宙ステーションの中で
民族人種国籍の異なる人々が協力し合い
人類全体の未来にとって有益な成果を生み出そうとする
これはまさにあと一歩まで近づいている地球の姿でした
私たちはそれを信じて疑いませんでした


「ブーチンがやるなら私がやってもいいよね」
と考える独裁者がいます

習近平や金正恩だけではありません
軍事独裁政権はミャンマー以外にも十数か国あります
今そんな国が隣国を侵攻したらどうなるでしょう
「国連の非難決議?なんだそりゃ??
 俺はプーチンと同じことをしてるだけだぜ」

私たちが信じていた世界秩序は崩れました
世界秩序の根幹だった国連常任理事国が
独立国への軍事侵攻を堂々と始めてしまいました

戦争の無い世界は幻でした

はっきり言います
あなた方が私たちから受け継ぐ世界は
かなりひどいものになります

若者と呼ばれる世代のすべての皆様へ
数十年間大人と呼ばれてきた世代の代表として心から謝罪します

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