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短編小説✳︎名前の由来③
するとまさに
その曲がラジオから流れた。
「あ、これこれ!
これですよ。
そうだ。
雨音はショパンの調べ
ってタイトルでした」
「あら、偶然ですね」
母の心は少し和んだ。
不安を煽るザーザーと降る雨音も
ラジオから流れる
透明感のある歌声が重なると
心地良くなるのが不思議だ。
それから直ぐに、車は動き出し
曲が終わる頃には
無事病院に到着した。
料金を受け取りながら
運転手は
「きっと大丈夫
短編小説✳︎名前の由来④
運転手の言葉通り
母は、初産の割には
安産だったと聞く。
「雨音は安産の調べ……よ」
母は笑いながらいつも言う。
当然のように
僕の名前は「雨音」となった。
父は「雨」が着くのは
なんか陰気臭くないか?と
ちょっと不満を漏らしたらしいが
母は、譲らなかった。
新婚の頃の可愛いお嫁さんが
僕を産んだ直後から
母は強し……になったようだ。
「あまねくーん!」
今、僕の傍で可愛い声で
名前を呼ぶ妻