映画館に『すずめの戸締まり』見に行っちゃったよね
映画館なんて料金も高いし、無駄に爆音で不快なだけだろ?
そんなことを言っていたはずなのだが……
なんか見に行っちゃったよね!
(最高だった)
【映画を見るまでの経緯】
いや、このままではそのときの気分で勝手なことを言ってるだけの人間になってしまう。
せめて言い訳をさせてほしい。
そう、これはいつものように外出時にポッドキャストを聴いていたときのこと。そこになぜか『すずめの戸締まり』があったのだ。
聴いてみると、どうやらすずめの戸締まりの小説版を音読しているらしい。
もはや無料のAudibleである。
しかも音読しているのは主役の岩戸鈴芽役の原菜乃華さん。
良い声で演技も上手いのはアマゾンプライムの冒頭12分バージョンで知っていたが、この番組でも実に良い感じだった。
そしてこの番組、なんと30話もある。
聴き終わってみたら余裕で12分バージョンより先の話までやっている。
どこまでかというと、八幡浜港にたどり着くくらいまで。
やわたはま……だと……?
実は自分の今投稿している旅行記ではなかったことにしているが、四国巡りの際に八幡浜には寄っていたのだ。しかも結構ガッツリ。
記事にするには少々問題があったのでスルーしたが、まさかこの映画の舞台(のひとつ)になっているとは思わなかった。
自分の知っている場所が出るとなると、なんだか途端に見たくなってきた。
いわば聖地巡礼の先取り状態である。
「自分の知っているあの景色は出るのか」なんて考え出したら、もう気になって仕方がない!
……でも映画高いしなあ。
いまや1900円らしい。
もうなんか美術館みたいな値段だ。
これはもう、どうにか行く理由をひねり出すことにしよう。
まずブログで書くネタにはなる。しかしこれだけでは薄い。
そうだ、U-NEXTに入り直して、「チケット引き換えでお安く観て来ました!」というネタを加えるのはどうだろうか?
だがまさかの自分が行くところは引き換えチケット非対応だった。
そんな罠があるとは。
こりゃU-NEXTに入り直す日は遠そうだな……。
……そうだ。
まだ映画で自分が体験していないものがあったじゃないか。
それはIMAXだ。
なんだか今までにも「IMAX観てみろ。世界が変わるぞ」みたいな意見は聞いたことがあったのだ。
自分は過去に4DXというアトラクション型の映画体験はしたことがあるが、値段が超絶アップするわりに次はもういいかな……と思う体験だった。
だがIMAXなら自分の映画観を変えてくれるかもしれない。
きっと良い感じの音響と凄まじい解像度で「映画館ってサイコー!」と思わせてくれるんじゃないか?(追加料金払うくらいだし)
というか『すずめの戸締まり』をさっさと観たい。(本音)
そんなわけで、
色々理由をつけて映画館否定派の倍速厨は映画館へ向かったのだった。
【IMAXの感想】
この映画の内容はともかく、IMAX体験がどうだったかを書こう。
ぶっちゃけ、次はもういいかな……。
結局音響も無駄にうるさいし、高解像度といえば高解像度なんだろうけど、劇場スクリーンではノングレア液晶みたいなムラ……というか、液タブ画面に映したような感じがして、家の4Kモニタで見た方が綺麗だなと正直思う。(画面サイズによる圧縮効果もあるだろうけど)
やっぱり映画館で見るのが好きな人とは意見が合わないんだなと実感する。
ホントにあの音響が良いと思うのだろうか……?
デカい音ゆえに、振動面では4DXみたいな感じがして迫力はあったが、他の面でのデメリットが大きすぎる。(甲高い音が耳障り等)
これで追加料金600円。
うーん……。
【『すずめの戸締まり』の感想】
やっぱり新海誠作品は最高だな……。
これからも新海映画は全部見ようと思えた。
そんな素晴らしい出来だった。
そして先述のポッドキャストで30話分聴いていたからわかることだが、これは小説も読まないと本当の意味で全部楽しんだとは言えなそうだ。
主人公の心情やら登場人物の設定も含めて、やはり小説は情報量が多い。
いやもちろん映画だけでも十分面白いので、心配しなくて大丈夫だけど。
では、以降ネタバレあり。
作画はもう言うまでもなく安定していて素晴らしかった。
凄みを感じる場面も多々あり、東京のシーンなんて色んな意味で鳥肌が立った。
そういえばこの映画、よく見たら上映時間が2時間である。
いっちゃなんだが、倍速厨の自分にとって2時間は長い。
だがこの映画はしっかり2時間楽しめた。
「知らない映画なんだからそんなもんだろ」と言う人もいるかもしれないが、つまらない映画だったら内容を知らなかろうが自分は初手倍速だ。
この映画はとにかく惹き込まれたし、「倍速したいな…」と思うような場面は無かった。……いや、懐メロドライブシーンは正直ちょっとヤバかったけど。
声優に関しても、主人公の岩戸鈴芽役の原菜乃華さんが実に自然で素晴らしかった。感情を出すシーンの演技も凄い。
一方で、ちょっと気になったのは宗像 草太役の松村北斗さんだろうか。
いや見事にイケメンな感じの声ではあるのだが、なんだかちょっと舌っ足らず感があるというか……。でも許容範囲ではある。
ダイジンはあの容姿で恐ろしいことを言うので、なんだかドラッグオンドラグーンの「本当に、本当にありがとうございました」的な恐怖感を感じて非常に良かった。
内容に関しては、事前に公式から知らされていたが、思いっきり東日本大震災にスポットが当たった映画で、地震シーンもかなり出てくる。
自分は震災で被害を受けた地域の人間ではないが、そんな自分でも恐怖を感じるようなシーンはあったので、公式が注意喚起をしたのも納得だ。
しかしこれは今だからこそ作れる作品だったのかもしれないのかなとも思える。震災から大分年月が経ち、当時の子供も成長して、今は震災と向き合えるようになった人も多いだろう。
そして何より南海トラフ関連が数十年以内にほぼ確実に来ることを考えると、このテーマを描くタイミングは今なのかも……と思うのだ。
そんな重いテーマの一方で、主人公を助けてくれる人たちの暖かさが半端ないのも注目するところだ。それぞれ自分の人生をしっかり生きつつ、他人のために優しさを発揮している人ばかり。仏陀も大喜びだろう。
そういえば今作は劇中歌がない。
これは人によって意見が変わってきそうだが、自分的には良かった。
なぜなら爆音で最悪な映画体験になっていたかもしれないからだ。
『天気の子』は映画館で見たのだが、劇中歌が音割れしまくりで酷い体験だったのを覚えている。
それに今回は劇中歌がない分、EDの歌がとても染みるのだ。
そして話は変わって当初の目的だった八幡浜シーン。
ぶっちゃけ港と駅くらいなもんだったが、「あー懐かしい……」という感じでちょっと感動した。あの駅のベンチは何度座ったことか。
「みなっと」の看板もぼやけた感じで描かれていたが、自分の頭の中では解像度上がりまくりで認識していたのはいうまでもない。(旅行記で書くのはいつになるやらだが)
あと大洲城もチラッと出ていた。素晴らしい。
総評としては間違いなく見てよかった映画だ。
だが、なかなかにテーマが重いので、何度も見るとなると、ちょっと体力を使うかもしれない。そういう意味では映画の最終的な動員数がどうなるのかは未知数だ。
『君の名は』のように、ポジティブに「何度も見に行こう!」と思えるかというとどうだろう。
(いやこんなことは自分が気にすることではないのだが)
そして映画館について。
IMAXもダメだったとなると、自分はいよいよ映画はサブスクに来るまでお預けになりそうだ。正直同じ値段でいいからサブスクでも同時公開してくれないだろうか……? さすがにそれは無理か。
とりあえず、気を取り直して小説版を読もうと思う。
はぁ……今からもう次回作が楽しみだ。
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