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『プロジェクト・ヘイル・メアリー』読了!!(……ジョウカンダケ)

プロジェクト・ヘイル・メアリー」……ついに読みました!!

……上巻だけ。


文章自動生成のせいもあって、1冊に1週間以上かかったわ……。

いや違うのだ、作品がつまらなかったとかでは全然ない。

難しくて眠くなっただけだ。


(いや言い訳として最悪だわこれ)


いや、その……安心して欲しい。

眠くなるのは上巻の5分の3あたりまでである。
そのあたりは化学や物理の解説が多いわ、モノの説明をやたら文字ベースでしてくるから頭が足りないと正直辛くってもう……

あー!!いやいやいや!!「それまでも全部面白かっただろうがァ!!!」という方々は拳をおろしてもらってもよろしいですか!!?

これは頭の足りない私めが読んだ際の、めちゃめちゃ個人的な感想を述べる記事ですので!!


……そう、ここからが大事なところだ。

上巻の残り5分の2の部分で、

見事にこの作品は”神作”になった。


しん‐さく【神作】
 神の作ったもの。 また、神の作ったようなすばらしいもの。

”かみさく”じゃなかったのか…


あぁ!もう下巻を読みたくてたまらない!

しかしだ、下巻を読む前だからこそ書けることもあるのかもしれない。
そんな気持ちでこの記事を書いている。

正直下巻は上巻の10倍のスピードで読めそうな気がする。
後半の追い上げがヤバい!!


というわけで、以下壮大なネタバレを含むので、
まだ読んでない人は注意!!

いやホントに、後で自分で読む予定がある人は見ない方がいい。
こんな記事でサラッとネタバレを読むより、自分でしっかりと一文一文を噛み締めた先に得られる体験を大事にして欲しい。

数学や化学がアレな自分でも楽しかったから大丈夫!

・・・

……さて。

それでは上巻の話をしていこう。


物語は主人公が目覚めるところから始まる。
主人公は記憶を失っていた。

そう、長期のスリープから彼は目覚めたのだ。
しばらくして動けるようになった主人公は周囲を調べる。
近くには、同じようにスリープの機械に入った2つの死体。
スリープから目覚めることが出来たのは彼だけだったのだ。

謎の空間と、お世話してくれるロボットアーム。
そんな空間でしばらく過ごすうちに、段々と主人公の記憶は戻っていく。

戻った記憶によって、ここは宇宙船ヘイル・メアリー号であり、
自分は何かの使命があってここに来たことを思い出す。


そう、この物語は「宇宙船での話」と、「過去に何があったかの話」という2つのストーリーを行き来しながら進んでいく。

読者は主人公が何かを思い出すタイミングで、
主人公と同じように”過去に起きた情報”を知ることになるわけだ。

だが注意点として、本作の主人公は宇宙船に乗ることになるレベルの知識やスキルを持っている。読者がその知識レベルについていくのは結構しんどい可能性がある。
自分のような中学・高校レベルの知識すら厳しい人間には、確定でしんどかったことはいうまでもない。(だから眠くなったわけだが)

例えば、最序盤(10ページ)にロボットアームから「八の平方根は?」という問題が出されるシーンがある。(主人公の覚醒状態を確かめている)
この問題に対する主人公の答えは、「二掛けるeの二iπ乗」。
主人公的には、これはコンピューターを試している遊びらしい。

これを聞いて「なるほどワハハ(笑)」という感想を抱いた人は、
上巻の5分の3もしっかり楽しめることだろう。
自分は開始10ページのこのシーンでとりあえず数学は無理だなとわかり、おそらく今後出てくるであろう化学物理の関わる場面も厳しそうだなということが確定した。

(レビューでは「素人の科学知識でも余裕」とか言ってたのにさ……!)


さて、主人公はヘイル・メアリー号が地球を出発するきっかけも思い出す。

ある時、太陽から地球に注がれるエネルギーがどんどん少なくなっていることが発覚。
調査の結果、どうやらこれはアストロファージという謎の生命体みたいな粒子によって引き起こされていることが判明する。

アストロファージによるエネルギー吸収量は凄まじく、このままでは太陽から得られるエネルギーはどんどん少なくなっていき、寒冷化によって人類どころか地球上の生物の大半が死滅する。

研究を進めると、アストロファージは実は太陽どころかあらゆる星からエネルギーを吸収し、移動を続けていたことが判明。
そして、なぜか「タウ・セチ(くじら座タウ星)」という星にのみ、アストロファージによる悪い影響が見られなかったことがわかった。

この星に宇宙船を向かわせて調査をすれば、アストロファージをどうにかする解決法が見つかるかもしれない。

タウ・セチまでの距離は約12光年
そこに宇宙船を送り、解決策を見つけ、それを地球に送る。

人類存亡をかけたこの計画の名は、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」。全世界規模での凄まじい研究と、宇宙船建造が始まった。

宇宙船ヘイル・メアリー号の燃料はというと、なんとアストロファージ
顕微鏡レベルの小ささのアストロファージだが、1つ1つが凄まじいエネルギーを貯蔵出来る存在でもあったのだ。
これを燃料にすれば、どんな既存の燃料よりも速く遠くへ行ける。
滅ぼすべき敵を使って解決策を見つけに行くことになるが、そんなことは気にしていられない。

色々あって主人公はアストロファージを増殖させる手法を確立。
だが燃料として必要なアストロファージの量は200万キログラム
アストロファージ1つは重量20ピコグラムだ。
増やす方法自体は判明したが、重大な問題もあった。
寒冷化によって人口が半減するであろうタイムリミットがあるのだ。
だらだらと増やしていたら地球が寒冷化して終了である。

タイムリミットまでにタウ・セチのアストロファージを調査するためのラボを設計し、アストロファージを燃料として使うためのエンジンを作り、長期間のスリープを可能にする装置を作り、その他あらゆるアクシデントへの対抗策を考え、宇宙船の内部にそれら全てを搭載しなくてはならない。
もちろん乗組員の選定や、アストロファージ燃料を大量に作る必要もある。

ある研究者の試算により、寒冷化により人口が半減するまでのタイムリミットは19年だとわかった。

しかしそれでは間に合わない。

ヘイルメアリー号がタウ・セチに到着するまでに13年
そこから解決策を見出し、それが地球に届くまでに13年
どう考えても最低26年は必要なのだ。

時間を稼ぐ必要がある。
寒冷化を防ぐためには……そう。温暖化させればいい。

はるか昔、南極はジャングルであり、氷の中にはかつての腐敗した植物のガスが閉じ込められている。二酸化炭素の何倍も温室効果のあるメタンだ。

地球を温暖化させて少しでも時間を稼ぐため、
南極の氷を241発の核爆弾で破壊
氷を海に溶かし、温室効果ガスを大量に大気中に放出させた。

これによってどのような生態系や大気の大異変が起きるかはわからない。

しかしやらないよりはマシなのだ。
やらなければ、滅びるだけなのだから。


いやもうなんだかネタバレをそのまま載せてるだけな気がしてきたが、
この作品についてどう思っただろうか?

自分は正直、南極を核爆弾で破壊するような作品だとは思っていなかった。
(しかも温暖化させるためにとは……)

そう、どうやら思った以上に地球がヤバいのだ。

自分は読む前は『宇宙船で繰り広げられるドタバタ物語☆』というようなものを思い描いていたが、全然緊急度が違ったようだ。

そして、いよいよここからが本番である。


……宇宙船にいる主人公は思い出した。

ヘイル・メアリー号の燃料は片道分しかない。
タイムリミットまでにどうにか用意できたアストロファージ燃料は、
その量が限界だったのだ。

そしてヘイル・メアリー号の乗組員は、そのことを知っていてなお、
スリープ装置に入った。(生き残ったのは主人公だけだったが……)

そんな自分の死が確定している使命を思い出した主人公だが、自暴自棄にならずにその使命を果たすことを決めた。

ヘイルメアリー号はいよいよタウ・セチに接近。
そして、タウ・セチ付近のアストロファージの存在も確認できた。
これを採取して船内のラボで解析すれば、なにか解決策が手に入るかもしれない。……いや、解決策を見出せなければ人類は滅亡なのだ。

するとふいに、宇宙空間でなにかがピカッと光った

光った方をスーパーなカメラで見ると、おかしな物体があることに気づく。

自然の物とは思えない造形。そして光の点滅。

これは……異星人の宇宙船だ!


主人公はその異星人の船と、様々な頭の良いやり取りを交わす。

そして、なんやかんやで異星人がこちらの船に来るとのこと。
迫りくる異星人の宇宙船。
そして、それはヘイル・メアリー号と見事にドッキング。
お互いの船はトンネルでつながった。

異星人はとても賢いらしく、自分と主人公では耐えられる温度や大気組成が違うことも理解している。異星人が作ったトンネルはうまいことそれらの問題を解決しているようだ。

透明なガラスのようなもので隔てられた先にいた異星人の姿を、
ついに主人公は見ることになる……!

異星人の容姿とは……!!

こんな感じである!!

・岩っぽい
・45cmくらいの5角形の甲羅から足が5本出てる(関節あり)
・脚の先端にある指は3本で三角の爪が付いている
・目はない
・大きさはラブラドールくらい
・ぶっちゃけクモみたい
・変な色のシャツを着ている(腕5本仕様)


そう……それを自分の絵で描くと……!!


異星人想像図

(なんだか想像してなかったやつ来ちゃった……!!)


異星人「ロッキー」は、結構人類的には衝撃的な見た目をしているが、
とても賢い。なにしろ彼の文明も宇宙船を作ってここまで来ているのだ。

主人公はどうにか意思疎通が出来ないかと試行錯誤する。
ロッキーには目がないので、文字でのやり取りは出来ない。

思いついた方法は、ジェスチャーによるコミュニケーションを行って、ロッキーがそれに対して発する声をPCに取り込み、どんな意味の単語なのかをスプレッドシートにまとめていく。
こうして単語の収集をひたすら繰り返し、主人公はそのあとに「ロッキーが発した音の波形データを読み取って、スプレッドシートから該当のものを自動検索し、その単語をPCの画面に表示する」というプログラムを作った。
これによってロッキーの発した音は即座にPCで翻訳されて表示されるようになり、大体の意思疎通は可能になった。

なにせどちらも宇宙飛行士に抜擢された優秀な存在なのだ。
そりゃあスムーズに行くというものである。

ロッキーによると、ロッキーの故郷の星(エリド)もアストロファージによる問題が発覚し、主人公と同じようにタウ・セチに解決策を見つけに来たことがわかった。

ロッキーは人類にはない技術力を持っており、キセノンがどうにかこうにかなったキセノナイトでなんでも作ってしまう。いやもうキセノナイト以外のあれこれもなんでも作れてしまう。
ロッキーは異星人の宇宙船ではエンジニア担当だったのだ。

しかしロッキーの技術力が地球の技術力の全てを上回っているわけではない。ロッキーはコンピューターに相当する物を知らなかった。目で何かを見ることがないし、尋常ではない記憶力があるので、ロッキーの星ではそういうものが生まれようがなかった。
ロッキーにもわからないことは色々あるようだ。

そう、二人はお互いを補い合うことができるのである。

主人公の知識と、地球の技術力が結集したヘイル・メアリー号。
そしてロッキーが持つ異星の技術と開発力。

二人が力を合わせれば怖いものはない!

俺たちの戦いは、これからだ!!!


(~上巻終了~)


……もう後半が激アツすぎてすんごい。

最初の5分の3は眠くなり続けていた自分だったが、
それを乗り越えたからこそ、後半の展開が生きたとも言える。

頑張って読もう。
きっと報われるから。

もちろんここで書いたのは一部であって、
そりゃもう大事なあれこれが本編には色々ある。
(なんでロッキーは一人なの?とか、ロッキーの星のあれこれとか)

全部書いてたら何万字にもなるので、興味が湧いたならぜひ本屋へ。

……まあ正直言うと、個人的には電子書籍版を勧めたい。
本当に検索機能が欲しくなるから。

あとさらに言えば、いい加減小説もちょっとでいいから挿絵を入れられないものなのだろうか……?
一応この日本語版は、最初にヘイル・メアリー号の図解があるのでまだ良心的なのだが、英語版は図解すらなかったらしい。
(文字であの想像は無理だろ……)

『火星の人』のレビューでも言ったが、頭の中に情景が浮かばない場面の多さたるや、尋常ではない。下巻はどうなってしまうのか今から恐怖だ。
まあ自分の能力の問題なので仕方がないのだが……早く映画化して!


そうだ。この「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を率いる責任者的な立場のストラットという女性がいるのだが、これがまたかっこいい女性なのだ。『火星の人』のときの女性船長といい、作者は責任感のあるかっこいい女性を登場させるのが好きなのかもしれない。

まだ主人公は記憶の全てを思い出したわけではないので、一体なぜ主人公が選ばれたのか、タウ・セチではなぜアストロファージの影響がないのか、
そして地球は救えるのか……まだまだ見どころ満載である。

……下巻は超速で読み進めることだろう。

話題作はやっぱすごいわ……!


下巻感想↓


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