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気まぐれ美少女ゲーム感想vol.8 Erewhon

 折角フリーゲーム久しぶりに公開したし連続で投稿して少しでもnoteのPV伸ばそうシリーズ第一弾


骨太なシナリオに毒のある女性の造形、悪夢に魘されたようなエロス、丁寧な伏線回収の手際、CLOCKUP作品の美点をこれでもかと宝石箱のように鏤めた作品。美少女ゲームがどうこうという次元ではなく、一つの伝奇物語としてよくできていた。

因習村を題材にした美少女ゲーム、という時点でかなり期待はしていたが、ちゃんとテーマや世界観に沿った、「観たい」シーンをしっかりと提供してくれるのが何よりも良かった。



 

幸福という概念を攪拌するようなテーマやいつもながらの独特の閉塞感、抉り込むような心理描写も流石だが、良識を兼ね備えた大人である主人公が段々と村の狂気に混乱したり真実に肉薄していったりする様は普通に一個のエンタメとして面白く、エ●ゲとしてだけではなくかなり多面的に楽しめた作品だと思う。

村の謎や歴史を紐解いていくラスト三分の一ほどの過去廻想編に突入してからの下りから急激に面白くなり、作品の格が一気に二段階くらいは上がった印象がある。進●の巨人のマーレ編みたいな。

種明かしの仕方や伏線回収のタイミングも巧く、これまでのクロアプ作品であったらここで終わっていた(バッドエンド)だろうなというところからの繋ぎ方も巧い。種を明かしてもまだ面白いというか。女性陣の邪悪さも極まっていたし、あたかもこれまでの集大成の様。

やはり私の中ではクロアプのエ〇ゲが一番「エ●ゲ」なんだなあ。
信頼できる、というか。いっちゃん面白いね。メーカーの作風と波長が合うんだろう。

事実、クロアプ作品をこれまでに何作もやってきたからこそ味わえる驚きもあった。

エ●ゲはもう仮引退状態なのだけれど、クロアプ作品は手に取ってきたい。こういうのっていいよね。


 正直、最初の三ルートはストレス要素が強かったが、過去編に繋がる展開と考えればよかったか。後半で化けるタイプの作品だと感じる。

紅い「●●」を喰む。の回収には震えた。実質きよらは思わせぶりなだけのサブヒロインだったと言っていい。十子はクロアプ作品では珍しいタイプのヒロインでしたね。良かった。

凶器と悪夢の展開の連続でしたが、ラストの、ある種の脱力と言うか堂々巡りにも思える落とし方は、嫌いじゃない。クロアプ作品を完走した時はいつも色素が抜け落ちるような喪失感がある。いい物語に欠かせないものだね。 


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