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小豆島で本屋さんを始めます①

はじめまして。
TUG BOOKS(タグブックス)店主の田山と申します。

私は現在、瀬戸内海にぽっかりと浮かぶ島、小豆島にて「TUG BOOKS」という書店を開業すべく準備を進めております。(2022年5月オープン予定です)

オリーブや素麺、お醤油や佃煮などの特産品に「二十四の瞳」の映画の舞台としても有名な小豆島。

10(城山風景)

小豆島に暮らし始めて3年目。
実はこの島、6年ほど前に旅行で初めて訪れるまでは縁もゆかりもなかった場所なんです。

そんな私がなぜ小豆島に移り住むことになったのか。
そして、その島でなぜ本屋さんをやろうと思ったのか。
今回はその前半部分、なぜ小豆島に移り住むことになったのかについてお話をさせて頂きます。


生まれた時から転勤族

島の話をする前に、僕のプロフィールについて。
平成2年(1990年)鳥取県生まれ。
そして、自分には故郷、あるいはふるさとと呼べるような場所がありません。
というのも、親の仕事の都合で生まれた時から転勤を繰り返していたからです。

これまでに引っ越した回数は11回、住んだことがあるのは1都2府5県の計8都府県。平均すると3年に一回は転勤している事になります。

それこそ転勤しすぎて、中学生くらいまでは3年おきに転勤するのが標準的な日本人の働き方だと思っていたくらいです。
(そして、それだけ引っ越しておきながら未だに引っ越しの荷詰めが下手くそなのは何故…)

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友達と仲良くなってもすぐに別れてしまう生活が続いたから…かどうかは分かりませんが、物心ついた時から本が大好きでした。
親が本好きで身の回りに常に本があった環境というのも大きいと思います。

その後、本好きが高じて大学卒業の後は(株)丸善ジュンク堂書店に就職し、小豆島に移住するまでの7年間は本に囲まれて働く日々。
就職してからも転勤族の呪いなのか、東京、愛知と二回転勤を経験することになり、転勤するのにウンザリしていました。

これだけ転勤したのだし、そろそろ自分の住みたい場所を探して、自分の意思でその場所へ移り、根を張って長く暮らしていきたい…
そんな風に考えるようになっていました。


ハロー、瀬戸内海

そんな僕がなぜ小豆島へ移住しようと思ったのか。
移住の理由は色々あるんですが、まとめるならば

・瀬戸内海の美しさ
・小豆島の自然
・島の多様な歴史、文化
・島で出会った人の面白さ

に惹かれたことがきっかけでした。

小豆島に行く前に、同じ香川県の離島である直島で瀬戸内海の魅力に惹かれることになります。2015年、一人旅で直島へ訪れた時の事でした。

初めての香川県、そして初めての瀬戸内海。
この旅では二日間かけて島内にある美術館巡りを楽しむ「現代アートの旅」を満喫する予定でした。

予定が狂い始めたのは二日目。
朝早く起きたので、せっかくだし近くの海岸を散歩するか、と思い立って宿の近くの海へ。
陽が当たりぽかぽかと気持ちの良い浜辺(訪れたのは春先だったので、早朝などはまだ少し肌寒かったのです)で近くに落ちていた流木に腰掛け、ぼんやりと海を眺めていました。

聞こえるのは鳥の鳴き声と打ち寄せる波の音だけ。
そして、近所に住むおじいちゃんがダックスフントを連れて海辺を散歩しています。

瀬戸内海特有のまるで鏡のように穏やかな海。
朝日を反射してきらめく海面。
後ろにある山から聞こえてくる鳥の声。
目の前をぴょこぴょこ跳ねながら通り過ぎるダックスフント。
愛犬を信頼しているのでしょう、リードをつけることなく自由に散歩させていて、自身もマイペースに歩くおじいちゃん。

直島150303②

この景色を見た瞬間、言葉にできない衝撃が僕を襲います。
な、なんて幸福な景色なんだ…!!

その後は熱に浮かされたように島内をふらふら自転車で巡りながら、海が良く見える場所を見つけては浜辺に座って景色を眺める、という事を繰り返しました。


もはや予定していた美術館巡りはすっぽりと頭から抜け落ちています。

東京に戻ってからも瀬戸内の海の美しさが頭から離れず、再び瀬戸内海の離島旅行を計画します。
そして、二回目の瀬戸内旅行で訪れたのが小豆島でした。


海とカヤックと小豆島

二回目の瀬戸内旅行で小豆島を選んだ理由、それは「カヤックツアーがあったから」でした。

次の旅行は瀬戸内海を存分に楽しみたい
→そのためには海のアクティビティを楽しめる所が良い
→カヤックとか楽しそう
→調べてみると小豆島で体験ツアーをしている

というわりと短絡的な理由から小豆島行きを決めたのですが、この時の出会いや経験が僕を小豆島へ導くことになります…。

初めての小豆島、初めてのカヤック。
小豆島でのカヤックツアー体験を運営していたのは、現在「タコのまくら」というカフェを営んでいる自然舎(じねんしゃ)の山ちゃん(現在は自然舎は閉業。「タコのまくら」の営業のみ行なっています)。

小豆島出身で、小笠原の父島で海洋調査の仕事をした後にカヤックガイドの仕事をするべく小豆島に舞い戻ってきた彼によるカヤックツアーは、ゆったりのんびり、とても楽しいものでした。

1(カヤックツアー)

何より、海から見る小豆島の景色に魅了されてしまいました。

直島と同じ瀬戸内の島でありながら、大きさは直島の10倍強(直島:14.2㎢、小豆島:153.3㎢)で、島内には瀬戸内海で一番高い星ヶ城山(標高817m)を有する小豆島。
海から眺める山々の稜線は美しいし、山腹や海岸には所々大きな岩が転がっていたりと、勇壮な景色が広がります。

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美しい海とそびえたつ山が織りなす壮大な景色。瀬戸内海の他の島では味わえない風景が小豆島にはあるように思えました。

この時の体験をきっかけに僕の中では「瀬戸内海良いなぁ」から「小豆島良いなぁ」へと変わる事になります。


何度訪れても楽しい島


その後も毎年、多い時には年に数回小豆島へと旅行に訪れることになるのですが、何度行っても新しい楽しみがあり、全く退屈することがありませんでした。

大体の観光地は2回目くらいで制覇したので、3回目以降は山登りをしたり、

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パグ寺を訪れたり(僕は無類のパグ好きです)、

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山ちゃんと無人島カヤックキャンプツアー(カヤックで無人島に行って一泊キャンプをして帰ってくる。最高の体験でした…)をしたりと、色んな事をしました。

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こうして小豆島への魅力に取りつかれて狂ったように訪れる内、次第に島に住む人にも魅力を感じ始めました。

小豆島は離島の中でも便利な島で、生活に必要な物は基本的に島内で揃えることができます。(病院や小中高校をはじめ、コンビニ・スーパー・ドラッグストアにホームセンターもあります)
が、もちろん都市部に較べればお店やサービスが不足している部分も多いです。

そんな中、僕が出会った小豆島の人は足りない部分を自分たちで補う創意工夫に満ちていました。
一昔前の日本であれば当たり前のように見られたDIYスピリット。
”足りないものがあれば自分で作れば良い”という考えが島の人はもちろん、移住してきた人にも根付いているように感じました。

何より、みんなそれぞれの暮らしを楽しんでいるのがビシビシ伝わってきて、都市部での暮らしに消耗していた自分には島で出会う人がまぶしく見えたのでした。

僕もこんな暮らしをしたい。
そして、こんな楽しい人達と一緒に暮らしてみたい。

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小豆島への思いはますます募り、この頃には小豆島へ移住するんだ、という気持ちにまで膨れ上がります。

そして、その後も定期的に小豆島訪問を繰り返し、移住ツアーなどにも参加して、移り住むための情報を収集し続けてついに2019年5月、小豆島へ移住をします。


さて、次回はそんな小豆島に移り住んでから、島で本屋さん開業を考えるまでの話です。

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