会紙『だめライフ』第5号オンライン版(2024年4月18日発行)
はじめに
会紙『だめライフ』は、当会の活動報告に加え「だめ」に関することを幅広く取り上げます。隔月刊の予定です。
イベントで紙の新聞を配布しています。紙の新聞のPDF版は以下でダウンロードできます。いずれも内容はオンライン版と同じですが、オンライン版では紙版に掲載できなかった写真などを追加することがあります。
東外大だめライフ愛好会について
二〇二三年設立「だめがだめでいられる場所」を目指して、読書会・イベントを開催し新聞を発行しています。「だめ」はほんとうに「だめ」なのか?様々な分野から人生の可能性を考えます。
イベントでは「だめライフ」の実践・交流を行っています。昨年は茶話会・ブックカフェを開催しました。新聞『だめライフ』では、活動報告の他、独立した立場で大学生活に関するニュースを掲載しています。
だめ愛会は参加者を通年で募集しています。他大学の方も大歓迎です。「だめ」は社会学・ジェンダー論・倫理学・哲学などと密接な関係があります。これらの分野に興味のある方にもおすすめです。また、東外大で新聞を作れるのはだめ愛会だけ!新聞を書きたい、編集したいという方もぜひご参加ください。
最新情報はX・noteをご覧ください。noteでは新聞のオンライン版も公開しています。
活動予定
月一回のペースで読書会・茶話会・花見等をします。またイベントにあわせて、お読みの『だめライフ』紙も配布します。新聞は隔月になる予定です。
学部生、院生、教員、職員、学外者、誰でも歓迎。
次のイベントは五月中旬ごろを予定しています。
寄稿募集
『だめライフ』への寄稿を募集します。論考・エッセイ・詩・小説なんでも構いません。学外の方、社会人の方も大歓迎です。
内容:「だめライフ」に関することならなんでも。
書式:タイトル・ペンネーム(必要に応じて所属)を添えて、本文千字以内。
締切:第6号は六月八日(土)まで。
宛先:tufs.damelife2@gmail.comまたはX・Twitter DMまで。
高まる反戦の波――ガザ解放ビラ・ステッカー急増
四月五日、キャンパスの多磨駅側駐輪場付近にて、画像のステッカーを当会の記者が発見した。本紙第4号で報じた「お願い」看板のステッカーに続き二枚目となる。新たなステッカーには「free PALESTINE」の文字と共に、虹色の羽を生やしたパレスチナの国土が描かれている。
さらに四月十六日には、研究講義棟一階にビラが並んだ。まずは新歓ブースに二種類。どちらもパレスチナ旗を背景に、一方は「FREE GAZA NOW」と大書されている。もう一方は、振り上げられた拳とともに「Dont youcare?」と書かれている。さらにエレベーター前には、イスラエルと提携する企業のボイコットを訴えるビラが貼られていた。
一月十五日に円形広場に掲示された、ガザ停戦を求めるプラカードが早期に撤去されたにもかかわらず、ビラ、ステッカーはますます増加している。特に、講義棟でのビラ貼りは、パレスチナに関しては東外大初の大胆な闘争だ。「お願い」看板のステッカーも健在で、四月初旬時点で大学当局による剥奪は確認されていない。
これらの実行者は定かではない。しかし、これらの直接行動の高まりは、日本の大学生が立ち上がらなければならないほど、ガザが危機的状況にあるということを伝えている。
ムヘレス・リブレス讃歌
東外大だめ愛会 桃花水
「だめ」とアナキズムの近さはしばしば語られている。そこで、この場を借りて、あるアナキスト女性団体の歌を紹介したい。
ムヘレス・リブレス讃歌
ルシア・サンチェス・サオルニル
こぶし高き世界の女
燃えるような道を通って
光に満ちた地平のほうへ
地に足をつけ
青空に額を
生きる見込みを確かにして
因習に立ち向かおう
痛みから生まれた世界の
温かい粘土を形作ろう
過去なんか跡形もなく崩れ落ちてしまえ!
私たちには過去などどうでもいい!
私たちは再び
「女」という言葉を書きたい
こぶし高きイベリアの女
燃えるような道を通って
光に満ちた地平のほうへ
進め、進め
光へ向かって
これは女性団体「ムヘレス・リブレス」の創設者のひとり、ルシア・サンチェス・サオルニル(一八九五‐一九七〇)が一九三七年に作詞した歌である。ムヘレス・リブレスはスペイン語で「自由な女たち」を意味し、スペイン内戦期に共和派地域で活動した。
当時のスペインはアナキストの勢力が強く、内戦が始まると、共和派地域で俄かにアナキストのユートピアが席巻した。オーウェルの『カタロニア讃歌』を読めば、その熱狂がわかるだろう。
しかし、女性の解放は不十分なままだった。スペインのアナキストは公式的にはバクーニンの思想に基づき、男女平等を受け入れていたが、女性の機能は生殖であり、その役割は母性であるとするプルードンの思想も根強かった。アナキスト女性たちは、男性たちの口先だけの女性解放を乗り越え、革命を前進させるために立ち上がった。
ムヘレス・リブレスは「二重闘争」という概念を提起した。つまり、アナキスト女性は、階級闘争を推進し、社会革命を目指すと同時に、家父長制という因習から自らを解放しなければならない。具体的には、女性は家事をやめ、男性と同様、生産的労働に従事し、政治的決定に参加しなければならない。
ムヘレス・リブレスは女性の教育、生産的労働への参加を主導し、結婚制度、売春に反対した。また、雑誌『ムヘレス・リブレス』を発刊し、思想喧伝に努めた。この雑誌には米国のアナキストでフェミニストのエマ・ゴールドマンが寄稿している。
フランコの勝利によって革命は潰え、ムヘレス・リブレスの活動も終わった。しかし、その思想は第二派フェミニズムに通じる先駆的なものだし、彼らが直面した女性の二重の搾取は未だに続く問題だ。
サオルニルは「ウルトライスモ」に参加した前衛詩人でもあった。サオルニルのこの讃歌はムヘレス・リブレスの理想を力強く伝えていると思う。
参考文献
ジョージ・オーウェル(一九九二)『カタロニア讃歌』岩波書店
メアリーナッシュ(一九八三)『自由な女―スペイン革命下の女たち』彩流社
CGT(二〇一三)「Himno de Mujeres LIbres」https://cgt.org.es/resource/himno-de-mujeres-libres/(二〇二四年四月一五日参照)
文芸
短歌
『伍して』
匿人
とりかこむ公安刑事の春休みの娘下敷きの娘と同い年
反戦のシュプレヒコール公園を過ぐ童の遊び歌にこたえ
分離帯を超えれば検挙 警官の赤灯するどきゲットーの壁
横断幕の一端を持ちふみしめる大地はつづく 海 ヨルダン 海
小説を捨てて街路へ旅立てば書かれざるユートピアを吸い込む
【全75団体】ひろがるだめライフの輪
だめライフ愛好会は全国・海外に拡大しています。現存するだめライフ愛好会の一覧を作成しました。なお、オンライン版では更新した情報を公開しています。
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