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カバンのこと(4)手荷物の小ささはエキスパートの証

(承前)ちなみに最近、私の海外旅行の荷造りといえば「私の身の回りでよく働いた服のラスト・ラン」である。袖が煤けてきたワイシャツ、擦り切れ始めた靴下、着なくなってきたTシャツ、年齢に見合わなくなり始めたジャケット、その他諸々。これらをトランクに詰め込んで、最後の晴れ舞台として海外で着用し、そこで引退とする。原理的には、うまくやると帰りのトランクがほぼ空になる。

これはちょっと病み付きになる戦略で、一度ハマると抜け出せない。まず、トランクに余裕を考慮する必要がなくなるので全体荷物が小さくなる。

私は基本的にトランクをキャビンサイズに抑え、フライトではチェックインせずに持ち歩きたい。バゲッジロストも防げるし、ターンテーブルで受託手荷物を待たなくていいので出入国時のタイムロスも減らせ、現地での持ち運びも簡単で、いい事だらけだ。

ちなみにトランクはプロテカの機内持ち込みサイズを愛用している。こいつがまた、どれだけ無理っぽい量を詰め込んでもポリカーボネート製ケースの柔らかさとマチの柔軟性で吸収してしまう。誇張抜きに、入らなかった試しがないのだ。もうすぐ買って7年になるが堅調だ。すばらしい。

荷物をどのくらい捨てにかかるか、思い切り度合いを現地で調整することもできる。お土産と天秤にかければよいのだ。お土産が勝つなら、手持ちの服を少し思い切って捨ててくればいいだけのこと。

そしてこうなると、ワードローブの入れ替えが俄然捗る。捨てるのは勿体無いという思いが、最後に花道を用意することでだいぶ薄れるばかりか、あとで出張に回せばいいやと思うとダブついた服も潔く入れ替えられる。

いや、正確を期せば、もともと着ている服のほとんどがユニクロの私だ。下着は完全に全て、ワイシャツも白は全て、ジーンズだってEZYジーンズ以外もう履けないし、最初ちょっとどうかと思っていた感動パンツももう生活必需品だ。ちゃんとしたスーツは別に何着かあるが、国際会議くらいのイベントだと持って行く気にならない。冠婚葬祭とよほど重要な会食以外、もうユニクロのジャケパンで事が足りるとわかってしまって、あとは単純にその更新と、一部私服の更新、という状況である。我ながら簡単だ。いい感じだと思う。

たださすがに先日、12日間にわたるヨーロッパ出張をキャビンサイズで乗り切ろうとしたことは、旅慣れた同僚にも驚かれた。個人的にはしてやったりと思っている。ちなみにバッチリ上手くいった。
旅の途中でお酒など液体を買ってしまうと、その先で機内持ち込みが制限されるので注意が必要ではあるが、スーパーで100mlの小瓶を買うという方法で回避できた。そういう目で見ると、100mlに抑えてあるプロダクトも結構見つかるものだ。でもフランスやアメリカ西海岸の出張の時は仕方がない。安くて美味い赤ワインをみすみす見逃すほどのポリシーでもないのだ。(了)


#エッセイ #カバン #鞄 #海外旅行 #好きなもの

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