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【cinema】ハンズ・オブ・ラブ 手のひらの勇気

2017年初めて見た映画は、昨年公開のこちらでした。

にしても、何だ、この邦題。手のひらの勇気って何だよ、映画見てもわかんないよ、マジで、と思った方は多いと思います。私もわかりませんでした。ハンズ・オブ・ラブは、多分エンディング曲がマイリー・サイラスのそれだったので、そうしたんでしょう…。安易すぎる。とは言え、原題の「freeheld」を的確に日本語にするには難しい。調べてもなかなか納得するものがなく。アメリカの不動産法を勉強したらわかる、らしい。

これは実話を基にした物語。ニュージャージー州はオーシャン郡の女性警察官ローレルと車の整備士ステイシーのレズビアンカップルが、ローレルの病気が発覚してから、遺族年金をステイシーへ渡したいと郡の許可を得るために闘った話が描かれている。

去年は「キャロル」が圧倒的だったけれど、何だろう、それは本能で「いい」と感じたからで、この「ハンズ…」もすごくいい映画なんです。ローレル役のジュリアン・ムーアの演技は相変わらず素晴らしいし、ステイシー役のエレン・ペイジもカッコよくてまさにお似合いのカップルです。同じ同性愛を1つのテーマとして扱っているのにそれでも「キャロル」に軍配が上がるのは、その「アート性」(カメラワークやカットの印象など)と片や病気や政治的姿勢というセンシティブなテーマを含んでいるがために、レビュワーも及び腰になるのかなと思いました。実際に私もそうなので。

この映画のいいところは、ローレルの同僚兼相棒だったデーン(マイケル・シャノン)の理解と協力があってこその闘いだというところです。保守的な世論にも負けずに、いや半ば脚色してるのかもしれないけど、すごくその姿に励まされました。自分が同じ立場ならそう出来たのかなとか考えたり。彼自身も最初から手放しで支援したわけでもなく、その葛藤の様子が描かれていて、よかった。マイケル・シャノン、主演の2人を食うくらいのいい演技でした。

個人的なツボとしては、「いまを生きる」という映画でノックス・オーバーストリート役だったジョシュ・チャールズが、郡の民生委員でただ一人リベラルな姿勢を持つケルダー役で出ていたことです。脇役だけど重要な役でした。あの頃高校生を演じていた彼がもう50手前のオッサン役だよと。そんなところが嬉しくなる映画マニアな私でした。

それでもこの映画を見ていて感じたのは、女性はどんなに頑張っても男より低く見られるし、その努力は男並みではダメで、ただひたすらストイックに続けること、また一瞬でも弱みを見せたらアウトで、ローレルが少しでも「女性的」な部分を見せていたら、勝ち取れなかったんだろうなと思ったり、手放しでは喜べない現実を突きつけられたということです。

色々書いたけど、いい映画だったよ。アメリカがあらゆる意味で一歩前進したことを示す映画でした。

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