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【cinema】サマ

2017年85本目。ラテンビート映画祭6本目。

スペインがまだ南米大陸を統治していた頃の話。なのに統治している側は憔悴しきっていて、行政官のサマは早くその地を離れたがっている。そんなところから物語は始まる。

18世紀、南米の未開の地へ派遣されたスペインの将校サマは、国王からの異動命令が記された通知を心待ちにしていた。だが彼の元に通知は届かず、悶々と孤独な日々を送る。未来に絶望したサマは、危険な山賊を追う民兵と行動を共にし始める。アルゼンチンの作家アントニオ・ディ・ベネデットによって1956年に書かれた同名小説をルクレシア・マルテル監督が映画化。(ラテンビート映画祭公式サイトより転記)

なんて形容していいのか、ワケのわからないストーリーなんですが、それを「ラテンアメリカっぽい」と言ってしまうのもアリなのかもしれない。高校生の頃、ガブリエル・ガルシア=マルケスの小説を何作か読みましたが、あの頃は訳もわからず、だけど夢中になって読んだことは覚えていて、あのワケのわからなさを今回この「サマ」を見た時にも感じました。少し居心地が悪いのだけど、何だかそれが面白くて、ずっと追っていたい感じ。代わり映えのしない日々を、こんな風な表現で描くのか。変な熱に浮かされて、目が回るような感覚とでも言おうか。

サマは超仕事熱心でもないし、とにかく早くこの僻地から離れたくて仕方がなくて、でも上司である総督は本国にかけあうよ、みたいなことを言いつつも、実はその願いを握りつぶしていたり、はたまた部下はやってはいけない副業?みたいなことをして、総督の逆鱗に触れたり。そんな上司と部下の間に挟まれて、心労は重なるばかりのサマ。

だけどやることはやっていて、結構年増の人妻に手を出そうとしたり、現地の女性との間には子供を作っていたり、なに、そのハチャメチャ感。だけど、彼にはこの地には全く思い入れがなく、願いが聞き入れられないとわかったら、なぜかビクーニャ・ポルトという超悪党を捕まえるための小隊みたいなんに仲間入りして、それがまた彼を新たな迷路へと誘う…みたいな。で、現地の部族との衝突があったり、まさかのビクーニャ・ポルトがこんなところに…!という衝撃からエグいシーンにつながっていったり。ああ、やっぱりワケがわからない。だけど、面白い。

尺が長くて、前半があまりにもゆったりしつつ、なのに最後の方の緊迫感はとてつもなくて、何とも言い難いのですが、今度の米アカデミー賞の外国語映画賞のメキシコ代表作品に選出されたようです。万人に受け入れられるとは一切思わないですが、一部の人にでも、この世界観がわかってもらえたら、そりゃ本望なんじゃないでしょうかね、サマは。

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