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【cinema】奴隷の島、消えた人々

2017年11本目。

つい最近のことだったと思います。韓国の小島の塩田で、知的障害者の人たちが奴隷のように扱われて働かされていたというニュースが報道されました。え、隣国で、こんな現代社会で、そんな野蛮なことが罷り通っていたのか、と衝撃を受けて、頭の片隅に残っていて。
本作は、それをベースにしたフィクションで、その事実を探りに行こうとした雑誌記者たちが島で死傷した事件から始まります。彼らが残したカメラによって、どのような状況だったかが明らかになっていくというストーリー…。

私はこの映画に何を求めていたんだろう。残酷な虐待シーン?労働者がどんな酷い仕打ちを受けていたのかを見たかったのか?

以前に、「トガニ 幼き瞳の告発」という韓国映画を観たことがあります。これは、2000年代初頭、韓国は光州市の聾学校で起きた教師や校長による生徒への性的虐待事件を基にした映画で、それはそれは直視するのが辛くて、思い出したら今でも吐き気がするほどの衝撃でした。それでも「事実を知るための映画」として、見てよかったと思いました。多分それもあって、今回の映画には、そんな衝撃を求めてしまったんだと思います。でも違いました。フィクションはやはりフィクションです。それをベースにした殺人事件が、この映画のメインなんでしょう。でもある種の物足りなさを感じたのは、映画に出てくる「奴隷」(労働者)の数が少ないなぁというのと、劣悪な労働環境や、諸悪の根源である雇用主の描き方が薄すぎて、残忍さはあまり感じられない。いや、実際どうだったのかは知らないけれど、その辺りの描写がサラッとしすぎて、ズシリとこなかったというか。もっとうまく描写したら、すごい迫力の内容になってたんじゃないかなと思うんです、私的に。

それにしても、記者役の男女も詰めが甘いというか、下調べしなさすぎなんじゃって感じだし、身の危険は想定しておくべきだし、そもそもバックアップ体制なさすぎだろ、とか全然映画のテーマとは違うところにツッコミを入れてしまって…。いや、しかし、警察の癒着とか、行政の管轄違いでのたらい回しとか、イヤな部分は存分に見させてもらったかも。

扱うテーマとしては、すごく興味があったので、本当に物足りなさを感じてしまったんです。韓国という国を、個人的には世論の影響もあってあんまり好きになれないけど、映画に関しては、絶大なる信頼をおいていて、多分これが邦画なら見ないけど、韓国映画だから見るって感じ。何となくだけど、肌に合うのです、この国の映画は。そんな感じです。

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