中国経済の現状と今後

これは中国人Wu Gong氏との議論のメッセージをまとめただけのものです。
https://twitter.com/WuGong9/status/1341416261666795521

中国経済について、語ります。
多分皆は何故自分がそんな中国経済を褒めまくっているのか不思議だと思う。
それは私が経済学オタクで、日本の近くに世界最大の経済大国が生まれる瞬間を目の当たりにしているからです。
それはマイケル・ジョーダンやメッシやFakerのようなスーパースターの登場を目撃しているような、一つの太陽が生まれるのを観察しているようなものです。
経済学オタクの自分にとっては、停滞を続ける日本経済は老人のようなものですが、成長を続ける中国経済はとても若々しくて見ていて楽しいのです。
だから私は大学で経済学を学んでいたものとして中国経済を観察して議論するのは、人気プロチームについて語るように楽しいのです。
中国の経済成長は日本やアメリカが経済成長していたときと殆ど同じものです。

まず現在の中国経済は多少の問題はあるとは思いますが、基本的にはまだ成長は続きます。
これがいつまで続くかといえば、中国人の賃金が欧米と同じくらいになるまで続くと思います。
ただし、これは中国の平均賃金ではなく、地域ごとの賃金です。北京の経済成長は北京の平均賃金がニューヨークの平均賃金に近づく頃には治まると思います。
なぜならそれはかつての日本も同じだったからです。
経済成長を続けていた時代の日本にも沢山問題はありました。公害問題などがその代表例です。
しかし、それは概ね今は解決しています。日本に出来たのだから、中国も同じ様にできるのは当然です。

だから「居安思危」という言葉は今使う言葉ではありません。
なぜならいま中国は国内でとてつもない競争をしています。平安の時代ではなく激しい競争をしているのでみな必死に努力しているからです。
企業が誤った経営を行えば、国内の別の企業に敗れるのです。
A站、B站、C站、D站が争い、B站が勝利したことが良い例です。このような競争は中国のありとあらゆる業界で起こっているでしょう。
B站は二次元文化出身の覇者ですが、次はネット上の他の動画サイトと戦っているのだと思います。
今の競争は概ね良い競争です。共産党は中国企業が良い競争をするために上手に指導しています。
その証拠が今の中国経済です。20年前の中国は後進国でした。10年前の中国は安いけど質の悪い商品を作る国でした。しかし今の中国は安くていいものを作る国になりました。これは中国が良い競争をしている証拠です。
当然競争の中には悪いことも起こるでしょう。しかしそれは皆が一生懸命努力している結果なのです。日本のように何もチャレンジしないでミスをしないより、中国のようにチャレンジにチャレンジを重ねてミスも沢山するほうが経済的にはずっと成長するのです。
私は今の中国経済の競争は後半戦に突入していると思います。春秋戦国時代で例えれば、当初100を超える国が戦国七雄になった段階だと思います。(ただし、実際1つの企業が独占にはならないでしょう。どの業界でも5つくらいは生き残ると思います。)

競争が一段落した時、中国経済は大きな繁栄を迎えます。
そして「居安思危」という言葉はその時にこそ必要なのです。
秦がすぐに滅びたのは始皇帝の次の指導者が悪かったからです。漢が長く続いたのは二人の武皇帝を始めとする優秀な指導者が沢山いたからです。
そして日本が衰退したのも同じです。一度は繁栄した日本経済が停滞を続けているのは、「居安思危」という言葉を忘れたからです。
今のような経済成長は必ず終わります。
そのときこそ、中国の指導者たちの力が試されます。
少し前の中国は大量生産大量消費という経済成長の大原則を拡大しました。これが概ね行き届いた今は「質」の追求に移っているでしょう。
国民がいい物を作り、いい物を消費する。ここまでは絶対到達できます。なぜなら日本もそこまでは出来たからです。問題はその先なのです。
経済構造の合理化です、不便な土地に住む人にどのような仕事をさせ、どのような生活をさせるか。
非効率な地域で非効率な仕事をしている人たちをどうするか。企業が雇いすぎた人をどうするかです。
これがとても難しいのです。なぜなら今の経済成長は中国人が皆幸せを謳歌しているので誰も不満を抱きませんが、経済構造の合理化は対象となる人達が大きな不満を抱くからです。それは中国で度々話題になる土地の立ち退き問題に似ています。
中国全体のためには、人をどかして道路やビルを作るのがいいのですが、そこに住んでいる人たちは大きな不満を抱きます。
動かさなければいけない人が1億人も2億人もいれば、それはとても難しい政治問題になります。
これは企業が雇いすぎた人を解雇するときも同じです。

日本はそれに失敗しました。
経済構造を改善する努力を放棄し、非効率な地域で非効率な仕事をしている人たちに金をばら撒き生活を保障することで問題を先送りしました。
その結果、非効率な地域の経済は国からの補助金なしには成り立たない経済になりました。効率的な地域の経済は非効率な地域に足を引っ張られて失速しました。
そして何よりも雇いすぎた人を最適な形に戻すことを怠ったため、企業は多すぎる社員のせいで自由な経営ができなくなりました。
アメリカの企業も1980年代同じような苦しみを味わいましたが、アメリカは経済構造を再度作り変えることに成功しました。
一方日本はそれが出来ませんでした。その結果が今の日本の停滞です。

また経済の停滞は政治的混乱をもたらします。
経済成長をしていた時の日本人は自民党を支持していたので自民党の一党独裁でした。
しかし経済成長が終わったときに、日本人は自民党に対して不満を抱き、自民党は選挙に破れました。
これは中国でも注意しなければいけません。今中国は経済成長をしているので皆共産党を支持しています。
しかし経済成長が終わったときに、中国人は共産党に不満を抱くでしょう。それを上手く解決しなければ、政治的な混乱が生まれる可能性があります。
共産党はそのような政治的な混乱のある中で、政治的に難しい政策を行わなければなりません。
中国のような巨大な国でそのような舵取りは難しいと思いますが、まあ私にだって分かっているのだから、共産党の人たちは当然分かっていると思います。

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