見出し画像

[古典] ドミナントスケールにおける効率性を求めた理解法

※こちらは黒田教室門下生用の記事ですが、一定期間の間、noteにて一般公開といたします。

いささか古い内容に終始した記事ではあるが、基本となるところなのでいま一度押さえておきたい。

1) コードが「D7 -> G△」と進む場合、D7には9th,#11th,13thの3つのテンションが認められる。音名で言えばそれぞれE,G#,Bである。
D7の構成音であるD,F#,A,Cの間にこれらのテンションを埋め込んでいくと「D,E,F#,G#,A,B,C」というスケールが出来上がる。
これをリディアンb7スケールと呼ぶ。

2) コードが「Ab7 -> Dbm△」と進む場合、Ab7にはb9th,#9th,#11th,b13thの4つのテンションが認められる。音名で言えばそれぞれA,B,D,Eである。
Ab7の構成音であるAb,C,Eb,Gbの間にこれらのテンションを埋め込んでいくと「Ab,A,B,C,D,Eb,E,Gb」というスケールが出来上がる。
このうちD,Eb,Eの部分がクロマチックとなるためEbをomit(省略)する。(P5thはrootの倍音として充分に意識されているため)
これをオルタードスケールと呼ぶ。

3) 上記二つの音列の構成音は全く同じものであり、Ab7はD7の代理として使われる(Ab7 -> G△)ことがある。
 「D,E,F#,G#,A,B,C」=「Ab,A,B,C,D,E,Gb」

4)さらに上記2つの音列はA音から並べるとメロディックマイナースケールである。
 「D,E,F#,G#,A,B,C」=「Ab,A,B,C,D,E,Gb」=「A,B,C,D,E,F#,G#」

これらのことからドミナント7thコードに対して使用するスケールはメロディックマイナースケールのみを練習することで充分に対応が可能である。

ただし1970年代以降はこの限りではないことに留意されたい。

また、各種ダイアトニックコードに割り当てられるドリアン、リディアンなどの教会旋法を基にする84種の各スケールはメジャースケールの音列と同じである。
よって1970年代までの機能和声による音楽に於いての使用スケールの練習は「運指としては」12種の長音階と12種の旋律的短音階のみを練習すれば事足りるものである。

上記に於いて「運指としては」と注釈したのは、スケールにおける各音の重要性と性格を無視した使用に陥らないようにとの注意喚起である。

京都在住のサックス/フルートプレイヤーです。 思ったことを自分勝手に書いていきます。 基本、内容はえらそうです。