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少子化解決の第一歩は神話を終わらせることだ

『21年の出生率1.3 出生数81万人で過去最少更新 下落幅縮まらず | 毎日新聞』

2021年も出生数、出生率ともに低下という結果になった。正直「知ってた」としか言いようがなく、コロナで出生数が激減する!と一時期騒がれていたことから考えると、むしろまだ持ちこたえている方だと感じる。

少子化の原因には、「金の不足」「支援の不足」が常々言われているわけだが、このうち支援の不足に関しては最早事実から逸脱した神話とも言える物語が形成され、称賛されているのが現状である。これが本当の原因を見えなくして対策が進まない原因を作っていると言ってもいい。

・神話の内容


女性の社会進出が当たり前の世の中になったのに、未だに家事育児が女性に押し付けられている。女性がその負担を嫌って子供を持つことを控えてしまっていることが少子化の原因である。解決のためには男性も育児参加する、保育園や働きやすい勤務環境を整備して、女性が仕事も子育ても両方出来るようにすべきである。

結婚や子育てに囚われない自由な生き方を尊重する一方で、子供を育てたいという人が確実に育てられるように万全の体制で支援をするべきである。支援を万全にやれば、自由な生き方と子育てを両立することは可能であり、社会は正しい形で持続できるはずである。

・神話の矛盾


まず女性の社会進出については、女性には上昇婚志向があるために、社会に出て働くようになるとそれ以上の収入を男性に求める。故にそもそも結婚しない、できない人が増える。

また統計を見ても、女性は自由に働ける環境になるほどキャリア進出から降りる。結婚して相手の収入だけで生活が出来るようになると、自ら家庭に入るようになり、仕事を辞めるかやってもパートなどの勤務に留まる。そういった事象を他責性によって「男に抑圧されて生きている」と勘違いしているのが実情である。

次に自由な生き方との両立であるが、これはフィンランド等の社会福祉国が日本並みの少子化に陥っているで説明がついてしまう。

リベラル思想の強い国では、個人主義の価値観が蔓延するが、それによって結婚に囚われない自由な生き方が持て囃されるようになり、自ら結婚しない生き方を選ぶ人が増える。

同時に男女平等こそが正しいという考えも広まるため女性の権利拡大が行われ、それによって女性が男性に求める収入も上がる。結果、女性にとっては「中途半端な男と結婚するくらいなら独身の方がまし」という考えが一般的になってしまうため、ハイスペックな男性とその男性に選ばれた女性以外は結婚からあぶれてしまうことになる。

これらの要因から、仮に子育て支援を増やしても結婚しない、出来ない人が増える事で、少子化は進む。神話の通りの社会が実現しても持続性の無い社会になる。

・神話を終わらせる方法


以前の記事でお金がないのが少子化の原因である、という言説が支持される理由について書いたが、子育て支援も支持される理由はおおよそ同様だ。

聞く側にとってこの言説があまりにも都合がよくて気持ちいいからである。

子育て支援の不足が原因、ということにしておけば、悪いのは支援を拡充しない政治や社会、及び社会福祉のリソースを奪う高齢者、ということに出来て、それらを叩くだけで済んでしまう。自分達に落ち度や原因があると考える必要がなくなり、単純な世界観でストレスをかけずに毎日を過ごせてしまう。また、自分達を社会の被害者に出来るため、snsで発信する際には多数の共感を得ることが出来る。正義に燃える人間にとってこれ程都合のいい話もないのである。

少子化を本当に解決するには、この都合のいい神話を終わらせて、本当の理由に多くの人の目を向けさせる必要がある。

特に鍵を握るのは、女性の意識変革だ。上昇婚志向や労働の選択など女性の意識と神話との食い違いが神話の矛盾を起こしており、これを是正していく必要がある。

社会に出て働く代わりに自分もパートナーを養うことを意識する、それが無理というなら男女の格差を受け入れる、どちらかを女性に選んでもらう(選ばせる)のである。同時にいいとこ取りは出来ないと厳しく言う必要がある。

気持ちのいい神話から抜け出して、不都合な事実に目を向ける、それができて初めて少子化は問題解決の第一歩を踏み出す。

最後に、筆者の考察した少子化の原因について、詳細をまとめた記事を掲載する。是非一度目を通していただきたいと思う。

追記(2022/6/7)

これも一緒。「子供育てる人を手厚く支援すれば、みんなどんどん子供産みたいと思うようになる!」という気持ちいい物語でしかない。出生率も人口置換水準には程遠い。

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