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万葉集 第1巻 1

篭もよ み篭持ち 堀串もよ み堀串持ち この岡に 菜摘ます子 家聞かな 告らさね
そらみつ 大和の国は おしなべて 我れこそ居れ しきなべて 我れこそ座せ
我れこそば 告らめ 家をも名をも

万葉集の最初が、あっけらかんと明るいナンパの歌というのがいかにも日本らしい。
相手の持ち物をほめて、「どこの家の子? 僕はがっかりさせない男だよ」って。すごくおおらか。
しかも、ただ遊んでるんじゃなくて、ちゃんとした関係を望んでいるのが、「家」を聞いているところに現れている。

明るいナンパでありながら、その結果としての出産、そうなった場合深く付き合うことになるお互いの家族のこと、そういうことをサラッと確認するあたり、まじめっていうのとはちょっと違うけれど、想定される結果への備えは怠らない感じ。真面目とは違うと感じるのは、子供ができてもそれはそれで能天気にめでたいことというか、それと結婚が直接結びついてないイメージというか。完成された一つの型なんだなと思う。

学術的には、本当は天皇の歌ではないとか、こういう時こういう形で詠じた儀式の歌ではないかとか、いろいろな考察もあるけれど、この歌を冒頭に持ってくる、という価値観は変わらない。

ナンパが子孫繁栄の第一歩と考えれば、お手本としての天皇のナンパを冒頭に持ってくる影の無い感じも、やっぱり日本らしい。

今の若い人は、という年になってしまったのがとても残念だけれど、
ちゃんとしたナンパとかしてない気がする。
少子高齢化の縮図かも知れない。 

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