高橋 哲也

万葉集1日1首。けど解釈や解説はしません。その歌から思ったことを気ままに書いていきます…

高橋 哲也

万葉集1日1首。けど解釈や解説はしません。その歌から思ったことを気ままに書いていきます。 関西在住50代

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万葉集 第1巻 5-6

霞立つ 長き春日の 暮れにける わづきも知らず むらきもの 心を痛み ぬえこ鳥 うら泣け居れば 玉たすき 懸けのよろしく 遠つ神 我が大君の 行幸の 山越す風の ひとり居る 我が衣手に 朝夕に 返らひぬれば 大夫と 思へる我れも 草枕 旅にしあれば 思ひ遣る たづきを知らに 網の浦の 海人娘子らが 焼く塩の 思ひぞ焼くる 我が下心 反歌 山越しの 風を時じみ 寝る夜おちず 家なる妹を 懸けて偲ひつ 長かった春の日も暮れてしまう 鵺が物悲しく泣くように鳴く 山を越えて吹いて

    • 万葉集 第1巻 3-4

      やすみしし 我が大君の 朝には取り撫でたまひ 夕には い寄り立たしし  み執らしの 梓の弓の 中弭の音すなり  朝猟に 今立たすらし 夕猟に 今立たすらし み執らしの 梓の弓の 中弭の音すなり 返歌 たまきはる 宇智の大野に 馬並めて 朝踏ますらむ その草深野 この歌で、実際に知覚されたのは「中弭の音」だけなんですよね。 ほかはその音から想起された脳内風景。 「陛下が弓をはじいておられる 狩りにお出でになるのかな」 「野原に馬を並べて深い草を踏みながら進んでいかれるんだ

      • 万葉集 第1巻 2

        大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立ち立つ 海原は 鴎立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島大和の国は 見て褒める、というのは雰囲気を温めるのにいい方法だと思います。 自分の持ち物でも、褒めてみる。 他人の持ち物でも、褒めてみる。 前向きに何かを始めるときに、とても有効な気がします。 クニの主宰者であるオオキミが、国を見渡して褒める。 儀礼的とは知りつつも、悪い気はしない。 まぁ、そう思ってこれからも暮らすことはいいことだな、と思える。

        • 万葉集 第1巻 1

          篭もよ み篭持ち 堀串もよ み堀串持ち この岡に 菜摘ます子 家聞かな 告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて 我れこそ居れ しきなべて 我れこそ座せ 我れこそば 告らめ 家をも名をも 万葉集の最初が、あっけらかんと明るいナンパの歌というのがいかにも日本らしい。 相手の持ち物をほめて、「どこの家の子? 僕はがっかりさせない男だよ」って。すごくおおらか。 しかも、ただ遊んでるんじゃなくて、ちゃんとした関係を望んでいるのが、「家」を聞いているところに現れている。 明るいナ

        万葉集 第1巻 5-6