そうか、VTuberによる漫画語りは難しいのか ~多くの実力が試される企画
以前、VTuberは漫画をメインで語る配信をしないよねと、記事にしていた。
その時は、恐らく一定のリスクもあって配信はしないモノだと思っていた。
ただ、その後に色々と漫画語りを行う配信が行われていて、この記事の補足を書かねばと思っていたが、放置してしまっていた。
今回はそれらを補足しつつも、やはり漫画語りがメインになっていない点も改めてまとめていきたいと思う。
■漫画家も交えてのVTuber、漫画語り
まず、上記の配信から語っていく。
こちらはどういう経緯で始まったか分からないのだが、各事務所、個人VTuber、しまいには漫画家までも参加した漫画語りの配信である。
特に初回はジャンプ漫画を語るということにプラスして、週刊少年ジャンプでの連載経験もある西義之も参加している。この点から見ても、おおよそは集英社にも配信内容に関しては一報入れられいたのではないだろうか。
この後もこの企画はシリーズ化して、ようやく最近、企画名というのか配信用のハッシュタグが『#漫画プレゼン同好会』と決まった。
その際には、視聴者だけでなく漫画家などからも反応があったり、また売り上げに貢献したかまでは不明ではあるが、作品へのアクセスが集中したりと一定の効果は関係者じゃない私であっても目に見られる結果となっていた。
次にこの企画の参加者である因幡はねるの方も数少ないながらも、漫画語りをしている以上に漫画家をゲストに迎えた配信を行っている。
こちらは漫画家といっても、センシチブ方面、ハッキリと言ってしまえばエロ漫画ではあるのだが。それでも業界に長くいた人達なので、「超有名」という言葉に嘘偽りはない。
また、そんな中でも近年、エロ同人誌に参入したとはいえ、西義之はアニメ化もするなど、一般的にも歴とした漫画家である。まあ、他の方も作品がアニメ化しているのだが。
これと同様にVTuberと漫画家が対談をするケースも珍しくなくなっている。
先日も犬山たまきと漫画家山口つばさの対談も行っていた。これらの対談が可能となっているのは犬山たまきのマネージャーである、漫画家佃煮のりおの交友関係からである。
ただ、VTuberとの対談以前に漫画家自体が配信などで語ることが珍しくない。今となっては、こういった配信などを珍しいと思うことの方が少数派かも知れない。
こうも漫画家自身が自分の作品を含めた、漫画語りをすることは他者の権利物を借りてコンテンツ作りするリスクは軽減することが出来るのだろう。
ゲーム配信でも一応は権利物である以上、権利者からのルールに従って行うことになる。少し前まではそのルール自体なく、ほぼグレーな世界ではあったが。
この漫画語りにおけるグレーに対して、白黒を与えたのが許可取りともいえる関係者との参加ではないだろうか。
■文学少女VTuberの読書会
さて、漫画だけでなく、文学においても作品を語る場とはどうなっているのかも見ていきたい。
一部においてはアニメ絡みなのか、漫画、ライトノベル関係のレビューはYouTube上では削除リスクがあって、鬼門とされている部分がある。
そういった中で、読書会という文化から本を語るVTuberが出てきていた。
こういった文学を扱うVTuberは個人勢では、そこそこいたモノの事務所に所属しているVTuberでは見た事が無かった。しかも、大浦るかこの配信を見てみれば分かる通り、ガチな文学少女ぶりである。
この配信においては重要というか興味深い点は『夫のちんぽが入らない』の著者である、こだま氏にも配信内で作品を扱ったことがすぐさま知れ渡ったことである。
そして、取り扱ってくれたことに対して、Twitter上で好意的な感情を示している。
特に大浦るかこの魂と呼べる存在は書籍になる前からこだま氏の作品を文学フリマに購入していた強者。著者からしても、書籍デビュー以前のファンの存在には、余計に感動もあっただろう。
先にも述べた通り、権利を持つ著者から認知されることは一定ではオフィシャルに近くなる。
この場合は、単なる配信企画としての読書会ではあったが、作者が反応したことで事後報告という格好ではあるが、他者の権利物を扱うお墨付きを貰う格好になっていた。(ただし、決して正式なモノではないが)
先に語った通り、関係者を交えた漫画語り同様、大浦るかこの読書会はある程度は他者の権利物を借りる名目を得れたことになる。
また、この成果によって、今後このような配信で他の作者さんも取り上げて貰うことに対して モチベーションや多少の数字にも反映されることにもなるかも知れない。
大浦るかこはまだデビューまもなく、チャンネル登録者数も少ない。しかし、それでも事務所に所属するだけに個人勢よりも多く、権利物を扱うコンプライアンスもしっかりしている。
だからこそ、配信に対して一定の影響力が存在している。これがこだま氏に限らず、他の作者の耳に届いていたのである。
漫画家語りの件にしても、関係者を交えているだけに余計に早く伝わるだろう。そして、関係者同士だからこそ、発言の線引きも超えないようにはなっている。
ただ、人にとってはその線引きを超えた先を聞きたいという人もいるだろうが。
■作品語りはコンテンツのメインとなるのか?
今回このように語ってきたが、改めて漫画語り、本の紹介などがコンテンツのメインとするには権利上の問題以外にも、難しい点があるとも感じた。
それは大浦るかこの配信を見ていても、ある程度は文学に嗜んでない人にも興味を引くモノであっても、まったく読書をしない人にはなかなか興味は刺さりにくいモノと感じたからだ。
自分も文学に対しては興味も知識もそこそこであるからこそ、これ以上先の話をされると付いていけないとは感じている。
日本で広く読まれている漫画とて、まったく読まない人もいる。
キメハラ、鬼滅の刃ハラスメントといったように人気コンテンツに触れてないだけで馬鹿にされるケースもあるぐらいに、そういった作品に触れない人は触れないモノである。
つまり、漫画や本というのはコンテンツに据えるには、層が広そうに見えて、実は狭い層を相手にすることなのかも知れない。映画なども、日本人のほとんどが年に1本見る程度だと言われている。
ただ、こういった作品語りは配信で扱うには未開発の地でもある側面もある。特に「読書会」と「VTuber」はほぼ未開発であったはず。
そして、権利という点でも、関係者との繋がりが薄いのでは個人ではこの点は難しい。例え、権利上の問題をクリアしたところで、当たり障りない内容になってしまうだろう。そうなると、これを如何に魅せるのかは、実演販売者のような腕の見せ所となってしまう。
ただ、一番重要と思ったのは、他者のコンテンツを借りて、コンテンツ作りをする点にあると思った。別に他者のコンテンツを借りる様なケースはテレビであって多くあるから、駄目ではない。
しかし、自身がコンテンツであるVTuberにとって、借り物で配信などを構成していては他と変わらない横一列の存在になってしまう。
YouTube上でゲーム配信するにしても、もはや数多くの人がいるだけに、その人なりの個性を出さないと、その人のコンテンツとしてはファンが付かない。関連付けの動画の流れで見てくれる人はいても、その先も見てくれる保証はない。
VTuberとて、その数は飽和している。漫画語りなどをコンテンツにするには、ファンを作るぐらい特化させる必要がある。
特化に関しても、今回例を挙げた配信も当てはまってくる。漫画語りの際にも、漫画好きと漫画家が話し合っても対等に分かり合える配信者であった。読書会にしても、リアルでも経験豊富だからこそ配信でも飽きさせない作りとなっている。
実際、そう思って鬼滅ブームを扱っているメディアを見ていると、上辺だけで単に人気コンテンツに便乗しているだけと見えてくる。そこは鬼滅を扱う芸人を見ていると大概、上辺だけでお寒いモノである。かといって、椿鬼奴さんのようにガチ勢というのも、ライト層には刺さらないモノと感じる。
この自身と他者のコンテンツを両立させる点を考えると、作品語りというのはコンテンツ作りとして容易に手を出してはいけないモノとも改めて思った。
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