書籍化した『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』をどう評価すればいいか分からない件
『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた。』というWEB小説サイトで連載されていたモノが書籍化されたことが、私の中で色々と悩ませている。
実際、この作品WEB小説サイトで連載された物を見る限りは小説と言うよりは、VTuberを扱った題材でもある事から架空の動画配信を字に起こした感じに近い。確かに主人公の主観は入ってくるが、それ以上に配信内でのコメントも併せて記載されている。
感覚的には書籍化された『電車男』のように掲示板のログをまとめたモノに、当事者の主観が混じっているといった感じだろうか。ただ、WEB小説サイト発の作品で言えば、掲示板上で話が進む『勇者互助組合交流型掲示板』といった作品を例にした方が適切だろうか。
しかし、VTuberを題材に扱った作品という事で、掲示板といった方法を取ったことは配信の空気感を出すには優れた手だと感心していた。ただ、創作としてのメリット、デメリットが大きいやり方ではある。
たが、この作品の書籍化に当たって作られたPVに関しては、私の中でこの作品全体の評価に疑問を抱かないと行けないモノになった。
自分自身、言葉に出来にくい感情も含まれているのだが、先に語った様にこの作品は「架空の配信を字に起こした感じに近い」モノである。それ故にそのまま配信のスタイルに変換することも容易といえる。
だから、これはPVながらある種、実写化ともいえる。しかも、このPVの内容はこの出オチといえるタイトルのピークでもある。これから先のことが作品内で起こるとはいえ、ここがクライマックスとも言える。
この先を気になる人が、これを見てどれだけいるのか、私では想像もつかない話である。
実際、このPVは現在は再生数も70万も突破している。そのオリジナルが掲載されている「カクヨム」では作品のPV数が確認出来る。現在は総PV数でみれば、170万PVではある。しかし、それは各話の合計。
第1話のみのPV数で見ると3万強。この数字は話数が増えるほどに減っている。
話題になってPVから、小説本編に流れる人はやはり少ないのだろうか。それもあって、この数字はPVで声を当てた声優の佐倉綾音の影響なのかと思ってしまう。
一応、『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた。』という作品に関しては私は貶す気はない。VTuber扱った題材は既に色々と出ている中で配信の空気感を表現した点では凄いの一言である。
それでも愚痴が言いたい点に関しては、出版社が今のVTuberブームに乗って、この作品を書籍化しただけと感じるだけに、つまらないとの思いが強いのだと思う。
これは始めに例に出した『電車男』というよりは、のまネコ問題に近いのかも知れない。インターネット上で話題になったモノを企業が勝手に商品化したケースだ。近年だとアマビエに商標登録した件と同様の話題である。
結局、インターネット上で話題になったモノに企業が群がるのは、今に始まった話ではない。
それを考えれば、この『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた。』の件にしても、今更の話だけに私がとかく語る話でもない。多くのなろう系が出版される中ではこれもその一つに過ぎないのだから。
また、VTuber界隈でも話題になっていれば、企業に所属するVTuber達もこぞって話題にしているはずである。一応、作品のアカウントのフォロワーには多くのVTuberも確認出来、RTでもチェックはしている。
結局、私がモヤモヤと杞憂したところで、その数字など結果が追々証明してくれる。
正直、私がいま感じて感情は個人的な悩みだ。その結果、答えは企業が知っている。企業に任せろ、といった所だろうか。その答えを私個人が間接的に知るには、2巻以降が出るか出ないかで判断がつくだろうか。
ただ、なんだが、ブームに乗って出てきた作品というのは別に変な話ではない。ただ、それが企業が便乗したことで一気に冷めることもある。
その事でこの作品自体が埋もれてしまわないかとも、心配している。
また、ライトノベルではでイラストレーターがすべてともいったりするけど、これからはPVでの声優のネームバリューもモノを言うのかも知れない。実際、ここ数年のライトノベルの宣伝というのは声優とタイアップしたPVが多い。
よく、「ラノベでは誰でも書ける」という論がよく議論されるが、その本質とはイラストレーターや宣伝次第で、中身なんて最低限整っていればどうでもいいという、作者に関しては評価されてないのかも知れない。だからこそ、「ラノベでは誰でも書ける」というよりは「ラノベなんて誰が書いても同じ」でしかないのかも知れない。
例え、川端康成がなろう系を書いたところで、それは川端康成の小説ではなく、一つのなろう系になってしまうのではないだろうか。
そんな事にまで思考を巡らせると『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』をどう評価すれば分からないといった具合になっている。
まあ、この悩みを忘れないためにもこう記載して、今後もチェックしていこう。
■追記(2021/5/24)
Twitter上では今回の記事が意外に反応があって、どうであれ嬉しかった。ただ、自分が意図した点ではあまり反応がなく、語弊のある書き方をしていたのかとは反省すべき点はあった。
また、そういった中で整理して、今回の感情に関して見えてきた部分もある為、合わせて追記を行いたいと思う。
まず、WEB小説サイトに掲載されている『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた。』に関しては自分はかなり評価している。ただ、書籍化した『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』に関しては評価できないというのが素直な気持ちだった。
これに関しては整理して見えてきたのが、『100日後に死ぬワニ』と同じ臭いがして、書籍化に対して嫌悪していることに気が付いた。
出版社からすれば、ムーブメントになっているVTuberを題材した作品を売れないはずがないと見逃すはずがない。そんな事が見え見えな書籍化に対して、中身が面白かろうが『100日後に死ぬワニ』と同じで金まみれでは、つまらないと私は感じてしまっていたのだろう。
またブームに乗っての書籍化だけに、筆者の実力よりも先に話題性だけで評価されただけとなる。ここが本文でも書いた「ラノベなんて誰が書いても同じ」と繋がる点である。
後、これに限らず、二番煎じでも売れるということは、そのジャンルであれば誰が作っても同じ事になる。ここに置いても、誰が書いても同じと思っている。
そもそも、インターネットで話題になったモノが一般にまで話題になるとしらけるのも当然な流れ。少し意味は違うかも知れないが、株の話においても「靴磨きの少年」という言葉がある。
そう考えるとVTuberという話題性だけで、インターネットの文章が一般にも売れるという考えから、この話題性もピークと考えるべきなのだろうか。
ここも踏まえて静観するしかないのだろうな、と結果としての答えは同じという事で。
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