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【真】黒服物語〜金と女と欲望の世界〜07



柿原「よしっ、そしたらまずはウェイターの業務を実践的に教えていくからね♪」

柿原「アイスの交換は基本的に席にあるアイスが半分になったら交換しに行こう!席の灰皿は煙草が2本になったら交換!その時に灰が散らないように新品の灰皿を上に被せて、、、、」


柿原副店長の指導は営業20分前まで続いた。


柿原「よ〜〜し!結構ここまでハイペースに教えてきたけど、勘太郎君やっぱいいね、センスあるよ!数時間でここまで動ける子なかなかいないぞ〜!!」

僕「柿原さんの説明めちゃくちゃ分かりやすくてなんて言えばいんすかね、こー身体にスーってスーってはいってきます!笑」


僕は必死に覚えようとガムシャラにガムシャラに昨日会ったばかりの大人が話す事を素直に頭の中に入れ込もうとしていた。


柿原「よしよし、日本語はかなり弱いみたいだけど言いたい事はわかったよ笑とりあえずもう少しで営業始まるからタバコでも吸ってきな!!早速にはなるけど今日からこの店のメインホールウェイターとしてビシバシ働いてもらうからね♪」

僕「はい!煙草速攻吸って来ます!!!!」


今まで誰かから何かを教えてもらう事に強い抵抗があったはずだった。
ただその時は何故かそんな事は微塵も感じる事なく初めて買ってもらったTVゲームの説明書を読む純粋無垢な少年の様に必死に覚えようとしていた。

今までに経験したことの無い事をする時いつも不安に押し潰されそうになる自分がいる。そんな自分を強く強く魅せようとしている自分もいる。
本当の自分がどっちなのか分からなくなったのはいつからだろう。

本当の自分に気付いている自分が嫌になる時もあった。
本当の自分を隠そうとしている自分にもっと嫌になる事もあった。

そんな事は忘れ只ひたすら目の前の事だけを考えれる時間があるのは久しぶりのことの様に身体が感じていたのかもしれない、、、。



柿原「おーい、そろそろ営業始まるぞ〜!これ耳につけるインカムってやつで指示とかこれを通して飛んでくるから聞き逃さない様にしといてな♫」

僕「了解です!」

柿原「あ、あと今から女の子出勤して来るけど基本的に勘太郎から話しかけるのは絶対ダメね!話しかけられて軽く返答するのは良いけど絶対会話は今はしたらダメね!何でかわかる??」

僕「お店の女の子と話したらえーっと、、わかりません!!!!笑」

柿原「何でダメかって言ったらね、キャバ嬢と只のアルバイトスタッフって所詮は【男と女】なのさ、いついかなる状況でどうなるか分からないのが男と女なの、言い方悪いかもしれないけどお店として女の子は大事な大事な商品でその大事な商品をお店側が自店のスタッフに盗られたりしたら本末転倒だしお店としては大きな損失になるわけ!勘太郎さ仮に売上300万持ってる女の子といい感じになった時に全部を背負える覚悟ある?」

僕「や、絶対ないです!!!!」

柿原「て言うんだけどね皆、悲しい事にそーゆー事が稀にあるのがこの世界なんだ、、、。だ・か・ら万が一にでもそんな事がないように今は話すの禁止だからそこんとこ宜しくね♫」

僕「か、かしこまりましたぁ〜」

柿原「よし、20:00になった!今日も楽しい営業の開始だよ〜♫」


今日という日がこの物語の始まり。

【真】黒服物語〜金と女と欲望の世界

次回からウェイター編スタートです。

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