【中編小説】お母さんといっしょ 6
その夜以降ミミが人間の言葉を話すことはなかった。きっと魂をこれ以上ぬかれるのが嫌なんだと思う。
地震はぜんぜんおさまらないし、いろんなところでナマズが暴れているみたいだった。
でもテレビはナマズのことは言わないでチカクヘンドウについてばかり言っている。ナマズもそろそろお役御免みたいだなってぼくは思う。
アミは相変わらず泣き虫だけど、ぼくがお母さんに会った話をしたら急に泣かなくなって、それで毎晩ミミをベッドに連れていって一緒に寝てる。ミミがいつアミをお母さんのところに連れていくのか、ぼくは楽しみにしている。でもアミはお母さんに会ってもおにいちゃんには言わないって言ってる。ぼくはアミにちゃんと話したのにずるいって思うけど、でもぼくはアミのおにいちゃんだし、お母さんとの約束もあるんだ。
ぼくはゲンインとケッカの世界にいるお母さんは決まりの世界にいる、でも二人で思いあえば二つの世界はきっとつながるんだ。ぼくはお母さんの言葉を信じる。だってお母さんはうそをつかないから。ぼくは心の中でお母さんを呼ぶ。
「いつも一緒だね、お母さん!」
-(了)-
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