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走れメロス7

山賊です。
山賊は、メロスがなんも持ってないと言っても、命しかない、つっても、その命が欲しいのだ、なんて言います。それを聞いてメロスは、さては王の差金だな、みたいなことを言って、山賊やっつけちゃうわけですが、これって激しく変ですよね。
だってディオニス王はいけすかない奴ですけど、信念のひとです。人には信実など存在しないと確信を持ってメロスと対峙したひとです。彼の信念は、人は裏切る存在だ、ということです。
でしたら、当然へんですよね。人が裏切るという信念をお持ちなら、当然、メロスだって裏切ると思っていたはずです。メロスが裏切るなら、それを信じてるなら、山賊なんて雇う必要がない。
人の心を信じる信じないの別はあっても、メロスも王様も信念の人だったわけです。そのバチバチの勝負が、あの約束、三日の夕暮れまでに帰ってくる、て約束だったわけです。
その、本来、小説のテーマであるべきことを、こんなないがしろに、雑に扱っていいものでしょうか。
答えを言います。まぁ、どうでもいいんです。なぜって、人の心が信じられるとか、られないとか、太宰さんにとってどーでもいいことなんです。なにが言いたいかつうと、太宰さんの書きたかったことは別にあったってことです。
いいですか、太宰さんはね、人を信じるとか信じないとか、そんなこと書きたいんじゃないんです。先走って言うと、勿論、友情の尊さなんて語る気なんか端からなかったんですな。
まぁ、先走るのはやめましょう。メロスは次の障害物に挑みます。自分との戦いですな。太陽は暑いんですな。

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