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【昭和歌謡名曲集44】リンダ・リンダ ザ・ブルーハーツ

パンクは聞かなかった。「アナーキー」がやたら音楽業界にファンが多いとか、「スターリン」を吉本隆明が評価しているとか、漏れ聞いたが、テレビに出ないし、ラジオでもあんま流れなかったし馴染みがなかった。ライブでは豚の臓物をぶちまけたり、全裸で放尿したり、ファンもライブハウスを破壊したりと、碌な噂を聞かなかった。たまに雑誌で写真を見て、なんて恐ろしい人たちだと思っていた。外国の元祖のグループも「セックス・ピストルズ」とかいって、ちょっと聴いたが、肌に合わなかった。とにかくグループ名がひどい。私は反抗する為に反抗する人を好かない。
だから、夜ヒットにザ・ブルーハーツが出た時はたまげた。出ていいのか。出していいのか。こんな奴ら・・・。だが、私が間違っていた。素晴らしかった。今まで聞いたことのない音だった。
司会の古舘一郎はお気に召さなかったようだが、視聴者で衝撃を受けた人は多かったと思う。
その後、「TRAIN-TRAIN」が斉藤由貴主演の「はいすくーる落書」の主題歌になる。学園ものは普通見ないのだが、これは全部見た。工業高校に赴任した新任女教師の話で、何がいいって、斉藤由貴がいくら奮闘しても、荒れまくった教室が一向に変わらないのがいい。酷いまんまで終わったように思う。リアルで大変よろしい。何しろ全国の工業高校から非難が殺到し、もう今は全話見ることは困難だという。
映画では「リンダ・リンダ
・リンダ」がある。女子高生バンドの話である。これは青春映画の十本の指に入るだろう。彼女たちは、文化祭の最後で「リンダ・リンダ」を歌う。
ザ・ブルーハーツはたちまちのうちに、パンクなのに、圧倒的なポピュラリティを得る。
なんで解散したんだろう。
でも、よく考えると、上記二曲と「情熱の薔薇」しか知らない。いずれも歌詞は独特な言葉使いはあるが、メッセージ性の強いストレートなものだ。簡単に言えば、わかりやすい。バンドを続けるうち、その方向では難しくなっていったのかもしれない。若いうちは、真っ直ぐだけで勝負できるが、年齢を重ねれば、変化球も必要だ。だが、ファンは、いつまでもブルーハーツはブルーハーツのままでいてほしい。難しいとこですな。

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