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【昭和歌謡名曲集6】気まぐれビーナス 桜田淳子


聖子明菜の前に、中三トリオの時代があった。森昌子、桜田淳子、山口百恵の三人である。

やがて百恵は、人外魔境のごときオーラを放ち始め神となる。
昌子は、もともと歌がうまかったが、「越冬つばめ」で前人未到の、鬼神のごとき歌唱力を身につける。

(悲しいかな、引退復帰後は、凡庸な演歌歌手になってしまった)

顔がいいのは、圧倒的に桜田淳子であった。デビュー時はベレー帽を被って、可愛らしいお嬢さんで売っていた。
が、やがて足を出すようになる。ミニスカートをはきだす。その足がまた、スラリとしてて至宝である。極まったのが、「気まぐれビーナス」である。曲の途中でミニスカートなのに、ひょいと右膝を上げ、
「あなたは、どうしますかぁ〜」
と歌う。

どうするもこうするもない。いったいどうしろというのだ。どうにでもしてくれ! 私は身悶えた。

足出し淳子は私のアイドルとなった。なのに、ある曲あたりを境に淳子は変わる。

「しあわせ芝居」
作詞作曲、中島みゆき

淳子は足を出さなくなる。二十歳を超えて、大人の曲に挑みはじめるのである。
ポップス歌手として、淳子は上手かったと思う。でも、淳子は更にその上に行きたかったのだ。もしかして、後二人の成長と自分を見比べたのかもしれない。

続けて、
「追いかけてヨコハマ」
「リップスティック」を挟んで「二十歳になれば」

三曲、中島みゆきである。
そこにもう足見せ淳子はいなかった。
曲はどれも素晴らしい。でも、淳子が、これを歌う必然性がわからなかった。

華やかな貴方には似合わない。

いろんな考えがあったろう。二十歳超えて今更ミニスカじゃない。どんどん若いのも出てくる。もしかしたら、事務所の差し金かも知れない。いや、やはり、何より淳子が"変わりたい"と願ったのだ。

暫くおいて、淳子は「化粧」を歌う。

卒業する時がきた、と私は悟った。


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