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潮田クロ
2023年9月20日 22:26
なんという情けない男であろうか。若い男と逃げた妻を追い回すという話である。筋としてはこれだけである。私小説である。これだから私小説は……。丸谷才一先生の嘆きが聞こえてきそうである。 しかし、私は最初読んだ時、夢中になった。私小説でも、いいものはいいのである。小説が人間を描くものなら、ここまで書ければ上等と思う。「死の棘」も同様である。 一人の実在する人間を描くのに、私小説の他にノンフィクショ