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法人と役員間の取引に係る注意事項(高額譲渡)

前回、経営者と会社との間で低額譲渡に関して解説しました。基本的には、低額譲渡をすると余計な税金を取られることになります。

では反対に時価よりも高い金額で譲渡を行うとどうなるのでしょうか?

経営者から会社への高額譲渡

経営者については、譲渡価格と時価との差額が給与として課税されます。本来受け取るべき譲渡の対価よりも多くの金額をもらっているためです。

会社についても同様で、譲受価格と時価との差額は給与となります。そのため源泉徴収が必要となります(法人税法基本通達9-2-9(3))。また、一般的には当該金額は賞与として扱われますので、会社の損金(経費)にすることはできず、賞与を払ったにも関わらず、税額が減ることはありません。

会社から経営者への高額譲渡

会社については、時価と譲渡原価との差額が譲渡益になり、譲渡価格と時価との差額は受贈益となります。しかし、どちらも同じ利益ですので、結局は譲渡価格と譲渡原価の差額に課税されることと同じになります。ちょっと回りくどい言い方になりましたが、要するに普通に課税されるということです。

経営者については、特に課税は発生しません。ただし、譲受価格と時価との差額は会社に贈与したものとして扱われるので、取得価額は時価になります。このため、例えば事業用の固定資産を譲り受けた場合には、減価償却費の計算基礎が譲受価格ではなく時価になりますので、その分経費にできる金額は減少します。

高額譲渡をするとやっぱり損をする

結局、高額譲渡も低額譲渡同様に、あまりメリットはありません。ということは、時価より高い金額で取引をすることも避けなければなりません。少々荒っぽいですが、まとめると、経営者と会社との間で売買をするのであれば、価格は時価にする他ないということです。

したがって、前回の繰り返しになりますが、売買金額の根拠をしっかりと示せるように準備しなければならないということです。

終わりに

低額譲渡に引き続き、高額譲渡についても解説しました。これまた繰り返しですが、価格は自由に決められないこと、価格の決定方法もきちんとと文書化するなどして説明できるようにすることの2点が必要ですので気を付けましょう。

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