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退職金活用で離職率を下げる

退職金の機能の一つに、離職を抑制するというものがあります。今日の人材不足の状況下では、人を採用するのにコストがかかります。しかし、コストをかけて採用したのに、その従業員が短期間で辞めてしまったら、新たな採用のためにまた追加でコストがかかります。

仕事を覚え、これから戦力になることを期待していた従業員が突然退職してしまうということもありえます。

このように、離職の多い会社というのは、それだけで多くのコストがかかります。これを削減するためには、離職率を下げる他ありません。

退職金に差をつけることで離職を防ぐ

退職金を使って離職を抑制するための基本的な方法は、会社都合と自己都合での退職金に差をつけることです。金額の多寡だけで、退職するかどうかを決めるわけではないものの、退職を決断する理由の中に金銭面の条件は必ず含まれています。

また、十分な額の退職金を支給するということは、それだけ従業員のことを大切にしている会社であるということです。従業員を大切にすると社長が声に出して伝えること、態度で示すことは重要です。同時に、それを金銭という目に見える形で示すのが退職金なのです。

退職金制度の中には離職抑制の効果がないものもある

では、退職金制度を作るとしてどのような制度にすれば良いのでしょうか?退職金制度であればどんなものでも良いというわけではありません。特に、離職の抑制という観点で考えた場合には、それに適した制度を採用しなけれえばなりません。例えば、最近多くの会社が導入を進めている確定拠出年金(DC)には離職の抑制効果はほとんどありません。

離職を抑制するには、会社都合と自己都合の退職金に差を付けられることが必要です。ところが、確定拠出年金は退職事由によって支給額を変えることができません。従業員が自ら運用して退職金の額が決まるのですから当然と言えば当然です。

また、中小企業でよく活用される中小企業退職金共済(中退共)にも離職の抑制効果はありません。中退共自体は、手軽に退職金制度を構築できる優れた制度です。しかし、確定拠出年金と同様、退職事由によって支給額を変えることができないのです。

離職抑制効果があるのは、退職一時金と確定給付年金

結局、離職の抑制効果のある退職金制度は、退職一時金制度と確定給付企業年金の2つだけになります。これらの制度は、会社が従業員に対していくら支給するのかを約束する制度です。そのため、会社にとっては将来の財務負担が増す可能性があるのですが、退職事由によって支給額に差をつけることが可能です。懲戒解雇の場合には不支給にするということもできます。

終わりに

退職金制度にはいくつかの種類があるので、目的にかなったものを選択することが必要です。勧められるがままに導入するのではなく、自社に合った制度の選択をしたいものです。

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