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退職金規程は作るべき?~その1~

士業やコンサルタントの方といろいろ話をしていると、時に疑問に思うことも出てきます。最近あった話では退職金規程を作るべきかどうかという点です。そこで、今回は退職金規程の是非についてまとめてみたいと思います。

退職金規程の作成は義務ではない

まず前提として押さえておかなければならないのは、退職金規程の作成義務はないということです。退職金は支給しなければならないと思っている経営者の方もいますが、これは違います。退職金は支給しなくても問題はありません。したがって、退職金規程も作成する必要はないのです。

しかし、ひとたび退職金規程を作成すると、退職金の支払義務が生じます。規程があるのに支給しないということは認められないのです。つまり、軽い気持ちで退職金規程を作ると、将来大変なことになるリスクがあるのです。退職金を支給するつもりがないのであれば、退職金規程は決して作ってはいけません。

退職金規程がなく退職金を支給しないケース、退職金規程があって退職金をそのとおりに支給するケースは問題ありません。また、退職金規程があって退職金を支給しないケースは明らかに問題なので、今回の議論の対象外です。

退職金規程はないが退職金を支給するとどうなる?

今回の議論は、退職金規程がないのに退職金を支給するケースです。この場合にはどのようなリスクがあるのでしょうか?

そもそも、退職金を支給しているのに規程を作らないのは、資金繰りの状況を見て機動的に退職金支給を行いたいからということが多いと思います(単純に、規程の作成が必要と知らないケースや規程の作成が面倒というケースもありますが…)。確かに、資金繰りの状況を見て退職金を支給するかどうかを決めたいという経営者の気持ちはよくわかります。ただ、そのことによるリスクは把握しておくべきではないでしょうか?

退職金規程がないのに退職金を支給することの最大のリスクは、「すべての退職者に退職金を払わなければならないことがある」ということです。退職金を支払うかどうかを経営者が決めたいから規程を作らないんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなに都合良くはいかないのです。規程がなくても退職金を支払ったという前例があり、それが「慣習」と認められてしまうと、退職金の支払義務が発生するという判例があるのです。

では、実務においてはどのようにするのが良いか、それはまた次回解説したいと思います。

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